トルネード竜巻『アラートボックス』ほか


アラートボックスアラートボックス
(2004/06/16)
トルネード竜巻

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 最近気に入っているのが、トルネード竜巻。
 といっても、彼らは2004年にメジャー・デビューして、2009年に活動休止してしまったバンド。私が初めて聴いたのが最近なのである。

 名前だけは前から知っていたのだが、「なんかアタマ悪そう」なバンド名の印象から、ティーン向けのDQNな音楽をやっているのだとばかり思い込んでいた(笑)。実際に聴いてみたら正反対で、大人の鑑賞に堪える都会的でハイセンスなJ-POPであった。
 どんな意図でつけたバンド名なのか知らないが、彼らはこの名前のせいでかなり損をしたと思う。やっている音楽とすごくミスマッチだから。

 曲自体はポップでキャッチーなのに、凝りに凝った高度なアレンジ。変拍子や転調を多用し、ジャズやプログレ的な要素もちりばめられている。ポップなメロディーとテクニカルなアレンジのギャップが、むしろ魅力の源になっている。その点では、クラムボンとかサカナクションに近い。



 名嘉真祈子(なか・まきこ)のヴォーカルも素晴らしい。大貫妙子の流れを汲む植物系ウィスパー・ヴォイスだが、大貫よりもっと美声で透明感がある。一見弱々しげな声質ながら、思いのほか伸びとパワーもある。それに美人だし。

 彼らがメジャーで出した2枚のフルアルバム――『アラートボックス』と『ふれるときこえ』を聴いた。
 2枚ともいい曲がいっぱいで、アレンジも緻密で聴き飽きない。ただ流しておいても心地よく、じっくり聴けば作り込まれた細部が興趣尽きない。
  


 「言葉のすきま」や「パークサイドは夢の中」みたいな一般受けするシンプルな曲ばかり集めてアルバムにすればもっと売れただろうに、小難しい曲が随所に入っていて、それがとっつきにくさになっている。

 たとえば、『ふれるときこえ』所収の「おなじあなのムジアナ」など、ブランドXとかブラッフォードあたりのプログレ系ブリティッシュ・ジャズ・ロックのよう。私には面白かったが、一般のJ-POPファンからみたら「なんじゃこりゃ?」でしかあるまい。こういう曲は、トルネード竜巻とは別のバンドで趣味としてやっていればよかったのに……。

 要するに、トルネード竜巻の面々は、売れ線狙いに徹するにはテクニックとインテリジェンスがありすぎたのだろう。
 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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