堀井憲一郎『いますぐ書け、の文章法』


いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)
(2011/09/05)
堀井 憲一郎

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 堀井憲一郎著『いますぐ書け、の文章法』(ちくま新書/777円)読了。

 「ホリイのずんずん調査」で知られるベテラン・コラムニスト/フリーライターがものした、文章読本兼ライター入門。著者が担当した「ライター講座」をベースにしている。

 ライター入門としても、文章読本としてもかなり偏った個性的な内容である。
 ライター入門/文章読本をすでにたくさん読んでいる人が読む分にはよいが、これを最初に読むのは避けたほうがいい。日本語を習おうとする外国人が、きつい方言を先に覚えてしまうようなものだから。

 この新書でも、書いているのは、ほとんどが書く前の準備のことである。
 実際にどう書くのかは、本人が書いて学んでいくしかない。



 そんな一節があるとおり、具体的にどうやってライターになったらよいか、なったあとにどう仕事をしていったらよいかは、本書を読んでもまったくわからない。それ以前の心構えの話に終始しているからだ。

 著者が説くプロのライターとしての心構えには共感できる点も多いが、それは私が長年ライターをしているからであって、ライター志望の大学生とかが本書を読んでも、言っている意味がよくわからない部分が多いだろう。

 著者は本書でくり返し、“ライターはサービス業である。自己表現のために文章を書くな。読む人の立場に立って書け”と書いているのだが(それ自体は正論)、そのわりには、読者の多数を占めるはずのライター志望者の立場に立って書いていないのだ。

 文章術の本なのに構成も文章も粗削りで、思いつくまま書き殴った印象。もっとも、本書によれば、それは著者が意図して選んだスタイルなのだという。

 いま、この瞬間にたまたまおもいついたことを大事にして、それを書く。
 事前に、文章をじっくり練らない。書いたあともじっくりいじらない。



 落ち着いて書くな。
 じっくりと時間かけて書くな。
 それでは頭が勝ってしまう。
 頭脳が文章を制御しはじめる。そんな文章、面白くもなんともない。



 ……と、そんなふうに文章の「勢い」を何よりも重んじるのが著者の作法であるらしい(ゆえに「いますぐ書け」ということになる)。ま、私には手抜きのいいわけにしか思えないけど。

 ライター志望者が1冊目に読むべき本としては、野村進の『調べる技術・書く技術』か、永江朗のライター入門シリーズ(『〈不良〉のための文章術』など)あたりをオススメしたい。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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