白河桃子『震災婚』


震災婚 (ディスカヴァー携書)震災婚 (ディスカヴァー携書)
(2011/10/16)
白河 桃子

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 白河桃子(とうこ)著『震災婚――震災で生き方を変えた女たち ライフスタイル・消費・働き方』(ディスカヴァー携書/1050円)読了。

 山田昌弘との共著『「婚活」時代』をベストセラーにし、「婚活」を流行語にした著者が、東日本大震災が女性たちのライフスタイルに与えた影響を探った本。タイトルのとおり、結婚・恋愛をめぐる変化におもに光が当てられている。

 「取材対象者は、私がずっとウォッチしている首都圏の女性たち中心で、力及ばすこの本には直接被災地の女性のインタビューまでは入っていない」と、「プロローグ」にある。
 「大震災についての本を書くのに、被災地に取材にも行かないとはどういう了見か?」と言いたくなるが、まあ、こういう割り切り方もアリかもしれない。“被災地以外ですら、震災を機に女性たちの心に大きな変化が起きていること”が本書のテーマなのだから。

 3・11以降、婚約・結婚指輪の売り上げが急伸しているとか、結婚情報サービス会社の資料請求数が急増している、という話は、新聞などで何度か見た。
 結婚だけではなく離婚も増えており、子どもを持たない選択をしてきたカップルが子どもを作る例も増えているらしい(著者は、今年12月以降に「震災ベビーラッシュ」が起きると予測している)。
 そうした現象に象徴される女性たちの震災後の変化を、たくさんのインタビューから浮き彫りにした本である。

 企画としては面白いし、女性たちの声を記録した資料としての価値はあるのだが、著者の分析がなんとも薄っぺら。
 「大震災以降、女性たちの結婚願望が強まっている。一方では夫婦の価値観の違いがあらわになり、離婚するケースも増えている。それはなぜでしょう?」と問われたとき、誰もが思いつく程度のことしか書かれていないのだ。

 要するに本書は、雑誌の単発記事にするくらいが関の山の内容なのである。それをあの手この手で水増しして(対談を入れたり、たくさんの震災関連書からの引用をちりばめたり)、無理くり一冊の本にしている。そんな印象を受けた。

 まあ、それでもいくつか有益な情報が得られたので、よしとしよう。
 そのうちの一つは、2002年にアメリカで、「自然災害の後は、結婚、出産、離婚などが増加する。生命を脅かすような自然災害の後に人は自らのライフコースを変更するような重大な行動をとる」という論文が出ていた、という話。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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