蒲谷茂『民間療法のウソとホント』


民間療法のウソとホント (文春新書)民間療法のウソとホント (文春新書)
(2011/09)
蒲谷 茂

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 蒲谷(かばや)茂著『民間療法のウソとホント』(文春新書/767円)読了。

 健康雑誌の草分け『壮快』の創刊に編集者としてかかわった医療ジャーナリストの著者が、健康食品に代表される民間療法/代替医療の裏側を明かした本。

 自らもかかわった「紅茶キノコ」(健康食品のはしりとなったもの)ブームの舞台裏が一章を割いて書かれているほか、健康雑誌の作られ方についても反省をふまえて明かされている。

 また、アガリクス、プロポリス、サメ軟骨、黒酢、コラーゲン、ヒアルロン酸など、代表的な健康食品/成分について、その“効能”が検証されていく。

 少し前に読んだ『代替医療のトリック』を健康食品寄りにした感じの内容であり、巻末の参考文献リストにも同書が挙げられている。が、『代替医療のトリック』ほど民間療法全否定の姿勢ではない。

■関連エントリ→ サイモン・シンほか『代替医療のトリック』レビュー

 『代替医療のトリック』は緻密な調査に基づいた読み応えある大著だったが、代替医療とそれに群がる人々を小馬鹿にしたような「上から目線」、科学万能主義の臭味が鼻につくところがあった。

 その点、本書の著者にはもっと庶民に寄り添った優しい目線が感じられ、好ましい。各種健康食品・成分についても、是々非々の態度で検証にあたっている(それでも、大部分について否定的な結果が出るのだが)。

 著者は科学者でも医者でもないので、検証といっても関連論文を検索して読むだけなのだが、それだけの作業でも、健康食品をめぐる宣伝にいかに誇張と歪曲が多いかが明らかになっていく。健康食品を愛用しているような人こそ読むべき本である。

 印象に残った一節を引用する。

 欧米においては健康食品の利用頻度はそれほど高くありません。
(中略)
 日本において健康食品の利用が多いことは大きな特徴といえるでしょう。
 そして、日本では、補完代替医療を利用する理由や目的の調査によると、がんが治る、がんの進行を抑えるといった直接的な効果を期待して利用している人が多いことがわかりました。
 つまり、代替医療(健康食品)を薬と同じようにとらえているのです。これも欧米とは異なっています。欧米では、補完代替医療はまさに症状の緩和や通常医療の補完がおもな目的になっています。
 いい方を変えると、日本においては、健康食品に過剰な期待がかけられているといえるでしょう。
 がん患者が一ヵ月にどのくらいの金額を補完代替医療にかけているかをみると、一人平均五万七千円という結果でした。がんが治ることを期待しているからこそ、薬ではないのにこれだけの金額を支払っているのでしょう。
 しかし、健康食品は有効性が証明できていないからこそ、薬ではなくてまだ健康食品とされていることを忘れてはいけません。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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