『大前研一 洞察力の原点』


大前研一 洞察力の原点 プロフェッショナルに贈る言葉大前研一 洞察力の原点 プロフェッショナルに贈る言葉
(2011/02/24)
大前研一

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 大前研一著『大前研一 洞察力の原点――プロフェッショナルに贈る言葉』(日経BP社/1575円)読了。

 タイトルからはわかりにくいが、大前の過去の著作からピックアップした名言集である。

 大前は共著も含めれば100冊を超える著書をものしているし、日本のオピニオン・リーダーの1人なのだから、一冊くらい名言集があってもいい。しかし、本書は名言集としてははなはだ出来が悪い。

 言葉のタイプ別に章分けはされているものの、1ページに平均3~4行程度の「名言」がポツンと置かれているだけの作りは素っ気なくてなんの工夫もない。見た目上もスカスカ。

 言葉のセレクトにも難あり。

 名言集を謳うなら、その名言だけで独立した価値をもつような言葉を選ぶべきだろう。また、前後の文脈がないと意味が取りにくい言葉をあえて選ぶ場合は、脚注などを付して補足説明をすべきだろう。

 本書にはそうした配慮が感じられない。大前の著書をダーッと読み飛ばして、心に残った箇所に傍線を引き、その部分をただ抜き書きしたような印象なのである。

 一例を挙げる。
 あるページには次の言葉がポツンと置かれている。

筆者は六歳から十二歳まで、小学校で一つの観念を叩き込まれた。「日本が生き残るにはどうしたらいいか」である。



 前後の文脈抜きでこの言葉だけを抜き出されても、なんのことやらさっぱりわからないのである。 
 そもそも、これのどこが「名言」? もっと名言集にふさわしい言葉が、大前の著書にはたくさんあると思う。

 ツイッターの「大前研一BOT」を基にした本なのだそうだ。そういう経緯はいかにも「いまどき」で面白いけれど、書籍にする場合には「大前研一BOT」をそのまんま流用してはいけなかったのだ。ツイッターと書籍はまったく別物なのだから。

 ……と、いろいろケチをつけてしまったが、せっかく読んだのだから、本書の中で「なるほど、これは名言だ」と私が思ったものを3つほどピックアップしてみよう(てゆーか、この3つしか心に残らなかった)。

いつの時代も、最大の敵は自分自身です。



人生はスキーと同じで、転びそうになったら転んでしまったほうがいい。それを我慢して転ばないように転ばないように滑っていると、いつまでたってもへっぴり腰でしか滑ることができない。つまり、失敗を恐れて思い切ったことにチャレンジする勇気が持てないのだ。



私は、自分の生き方として何を基準にしているかというと、死ぬときに「これでよかったのだ」と言うための生き方を工夫しているのだ。これが逆にどれだけ人生を単純化してくれているか、毎日悩みもしないで安らかに眠れるか、計り知れない。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。56歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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