喜多あおい『プロフェッショナルの情報術』


プロフェッショナルの情報術 なぜ、ネットだけではダメなのか?プロフェッショナルの情報術 なぜ、ネットだけではダメなのか?
(2011/07/30)
喜多あおい

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 喜多あおい著『プロフェッショナルの情報術――なぜ、ネットだけではダメなのか?』(祥伝社/1470円)読了。
 多くのテレビ番組でリサーチャーとして活躍する著者が、自らの仕事をふまえ、情報探索のノウハウを明かした一冊。

 「情報術」本は山ほどあるわけだが、中には、「アンタ、他人にエラソーに情報術を説くほど大した仕事をしてないだろ?」と著者にツッコミたくなるものも少なくない(奥野某の本など)。
 その点、本書の著者は生き馬の目を抜くテレビ業界で情報を売るプロとして長く生きてきたわけだから、情報術を説く資格は十分である。

 読んで思ったのは、「テレビ番組リサーチャーの仕事は、ライターの仕事とじつによく似ている」ということ。
 本書に書かれた、一本の報告(発注者であるプロデューサーやディレクターなどに提出する)を書き上げるまでの手順をそのまま使って、雑誌記事を書くこともできるし、書籍の企画書を書くこともできる。やることは途中までほとんど一緒なのだ。

 ということは、食いつめたライターは、テレビ番組リサーチャーに転職するのも一つの手ではないか。
 調べもののスキルを一通り身につけているライター経験者なら、学校出たての若者よりはずっと早く一人前のリサーチャーになり得ると思うし。
 もっとも、出版業界とテレビ業界はいまや同じくらい泥船状態だと思うので、どちらに転んでも「食えない」かもしれないが……。

 そのように似通った部分があるので、本書はライターの私が読んでもわりと役に立つ内容だった。

 といっても、特別な情報収集法が明かされているわけではない。著者が情報を得るおもなソースにしているのは、書籍・雑誌とネット、それに専門家への直接取材で、この点もライターとまったく同じなのだ。
 それでも、そのようなオーソドックスなソースを用いて「いかに効率的に目指す情報にたどりつくか」のノウハウに、新鮮な点が多い。

 たとえば、ネット検索をする場合、どのような検索語を選ぶかによって結果に大きな違いが生まれるわけだが、著者はその際、「架空の記事を頭の中で二、三行書いてみる」のだという。そうすることによって、どのような「検索語の掛け算」をすれば求める情報が得られるかがわかるのだ、と。
 ううむ、これは目からウロコ。現場にいる人にしか持ち得ない生きた知恵である。

 本書には、そのような“情報探索に関する、生きた現場の知恵”がちりばめられている。
 テレビ業界の舞台裏を明かした読み物としても楽しめるし、著者の明るい人柄(私は会ったことないけど)がにじみ出るような楽しい本に仕上がっている点も好感がもてる。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。56歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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