コリア、クラーク&ホワイト『フォーエヴァー』


フォーエヴァーフォーエヴァー
(2010/08/25)
スタンリー・クラーク、レニー・ホワイト チック・コリア 他

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 コリア、クラーク&ホワイトの『フォーエヴァー』(ユニバーサルクラシック/3500円)を聴いた。

 チック・コリアとスタンリー・クラーク、レニー・ホワイトの3人からなるユニットのアルバム。
 この3人にアル・ディ・メオラ、もしくはビル・コナーズを加えれば、そっくり第2期リターン・トゥ・フォーエヴァーの布陣になる。要するに、“ギター抜きの第2期RTF復活"ともいうべきアルバムなのである。
 しかも、2枚組のうちのディスク2では、ビル・コナーズが4曲にゲスト参加してギターを弾いている。

 そんなわけで、第2期RTFのようなハードなジャズ・ロックを期待して聴いたのだが、私にとってはちょっと期待外れ。というのも、ジャズ・ロック色はごく薄いからである。
 とくに、3人で行ったワールドツアーからベストテイクを選んだというディスク1は、楽器もすべてアコースティックで、ごく普通のジャズでしかない。

 「でしかない」といっても、ジャズとしてはかなり上質。ストレート・アヘッドなジャズが苦手な私が聴いてさえ、「美しいなあ」と陶然となってしまう音なのだから……。とくに、チック・コリアの澄明なピアノはまことに素晴らしい。
 また、スタンリー・クラークのベースは、ウッド・ベースであってもロック的な力強さをたたえたもので、これも素晴らしい。
 だが、私がこの面々に期待するのはジャズ・ロックであるから、このディスク1は私には退屈だった。

 いっぽう、ディスク2にはわりとジャズ・ロック色の強い曲もあり、第2期RTFの好きな人にも楽しめる。
 こちらのディスクはスタジオ録音で、「アフター・ザ・コズミック・レイン」や「スペース・サーカス」といった第2期RTFのレパートリーも再演している。

 ヴァイオリンのジャン・リュック・ポンティをゲストに迎え、ポンティの曲「ルネッサンス」も演奏しているのだが、これも上々の仕上がり。途中、ヴァイオリンのフレーズをピアノとベースがなぞって追いかける掛け合いがあるのだが、そこがじつにスリリングで美しい。
 ポンティといえばマハヴィシュヌ・オーケストラのメンバーでもあったから、この曲は“第2期RTFとマハヴィシュヌという2大ジャズ・ロック・バンドの夢の合体"という趣でもある。
 また、チャカ・カーンをゲスト・ヴォーカルに迎えての2曲も、ポップで楽しい。

 ライナーによれば、本アルバムはディスク1がメインで、ディスク2はオマケ・特典として作られたのだとか。でも、私にとってはオマケ扱いのディスク2のほうがはるかに聴き応えがあった。

 RTFは2008年に再結成ワールド・ツアーをやったものの、演奏されたのは過去の曲ばかりだったようで、ライヴ盤にもあまり食指が動かない。このアルバムの3人にビル・コナーズを加えた黄金メンバーで、新曲ばかりのRTF復活作を作ってくれないものか。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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