岩田健太郎『1秒もムダに生きない』


1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方 (光文社新書 525)1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方 (光文社新書 525)
(2011/06/17)
岩田健太郎

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 岩田健太郎著『1秒もムダに生きない――時間の上手な使い方』(光文社新書/798円)読了。

 著者は医師/神戸大学教授で、「感染症界のエース」と呼ばれる人なのだそうだ。超多忙な医療・研究活動の合間に多くの著作をものし、翻訳も手がけている。しかも、私生活では多趣味でもあるのだという。
 そういう人の書いた「時間管理術」の本なら、たしかに読む価値がある気がする。それに、『1秒もムダに生きない』というタイトルはインパクトがあって魅力的だし。

 ……と思って手を伸ばしたのだが、期待外れの内容だった。

 何より、これは実用書というよりエッセイに属する本である。
 見開きに一度くらいの頻度で「僕は」「僕が」が登場し、最初から最後まで「自分語り」がつづく。
 著者なりの「時間の上手な使い方」が微に入り細を穿って披露されてはいるので、「看板に偽りあり」とは言えない。だが、客観的・普遍的な時間管理術を説いた実用書を期待した人にとっては、「なんじゃこりゃ?」である。

 それでも、第1章(全3章)の「時間を削り取る、時間を作る」には、傾聴すべき点もある。
 とくに、“すぐ取りかかれる仕事を常時いくつか用意しておき、そのときの気分でいちばんやりたい仕事からやるのが、けっきょく効率がよい”との指摘には共鳴した。
 つまり、“旧来の時間管理術では「プライオリティー・リストを作り、高い順から仕事を片付けよ」とよく言われるが、そんなことより気分の「ノリ」のほうが大事だ”との主張である。これは、私の経験に照らしてもそのとおりだと思う。

 私の心に残った点は、それくらい。
 第2章「時間を慈しむ」に入ると、ウザイ「自分語り」以外には見るべきものもなく、さっさとナナメ読みしてしまった。
 著者がどんな音楽が好きだとか、どんなふうに洗濯とアイロンがけをしているかとか、どんな小説が好きだとか、どうでもよいことが延々と書きつらねてある。「あんたの趣味や私生活が知りたくてこの本を読んだんじゃねえぞ!」と言いたくなる。

 最後の第3章「私の時間は何ものか」になると、さらに実用性から遠ざかってしまう。この章は著者の(大して深みがあるわけでもない)時間哲学が綴られている。なんだかなあ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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