ビル・コナーズ『ステップ・イット』


Step ItStep It
(1994/02/07)
Bill Connors

商品詳細を見る


 ビル・コナーズの『ステップ・イット』を輸入盤で購入。

 ビル・コナーズは、チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」がロック色を強めた第2期の、最初のギタリストだった人。『第7銀河の讃歌』(Hymn of the Seventh Galaxy/1973年)1枚に参加したのみで、当時は新人だったアル・ディ・メオラにギタリストの座を奪われてしまったが(※)、コナーズのギターはそれはそれで素晴らしかった。

※この言い方は、じつは不正確。というのも、コナーズの後釜として、一時期だけアール・クルーがRTFに加入していたから。もっとも、アール・クルーが参加してのアルバムは作られなかったから、どうしても「コナーズがディ・メオラにその座を奪われた」という印象になってしまう。それにしても、ロック路線だった第2期RTFにアール・クルーって、誰がどう考えてもミスキャストだなあ。すぐ脱退したのもうなずける。

 このアルバムは、RTFを辞めてからソロ・アルバムでアコースティック路線に走ったりしていたコナーズが、再びエレクトリック・ギターに回帰した1984年の作品。

 RTF時代には普通にハード・ドライヴィンなギターを弾いていたコナーズだが、本作ではギター・スタイルを一変させ、アラン・ホールズワースに思いきり傾倒。ホールズワースばりの透明感あふれるウネウネ・ギターを弾いている。
 
 バックを固めるのは、トム・ケネディのベースとデイヴ・ウェックルのドラムスのみ。全編シンプルなトリオ編成で、キーボードやホーン類などは一切不使用。よけいな装飾抜きで、ひたすら超絶テクのぶつかり合いを聴かせるジャズ・ロック・アルバムとなっている。
 そのサウンドは流麗にして、知的でストイック。大きめの音でかけていると、心が洗われて雑念が消えていくようだ。


↑アルバムのオープニング曲「Lydia」

 「ここまでアラン・ホールズワースにそっくりでいいのか?」という声もあったようだが、私が思うにホールズワースよりはもう半歩だけロック寄りだ。タイトル・ナンバーのように、渡辺香津美がビル・ブラッフォードとジェフ・バーリンとのトリオで作った名盤『スパイス・オブ・ライフ』(1986年)を彷彿とさせる曲もある。
 てゆーか、時系列からいったら、渡辺香津美が本作に影響されて『スパイス・オブ・ライフ』を作ったのかな?


↑アルバムのタイトル・ナンバー

 いずれにせよ、私の好みど真ん中の大傑作アルバム。買ってよかった。

 なお、YouTubeには本作の全曲が(おそらくは著作権者以外の手によって)アップされている。じつは私も全曲をYouTubeで聴いてから購入した。YouTubeから録音して事足れりとするような真似はしたくないのである。

関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

ブクログ・MY本棚

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
39位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
27位
アクセスランキングを見る>>