寒川旭『地震の日本史』


地震の日本史―大地は何を語るのか (中公新書)地震の日本史―大地は何を語るのか (中公新書)
(2011/05)
寒川 旭

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 今日は、都内某所で脳科学者(医学博士)の中野信子さんを取材。

 女性の脳科学者自体少ない気もするし、東大出(大学院医学系研究科脳神経医学専攻修了)でしかも美人とあって、今後テレビとかに出るようになったら一気に人気者になりそうな方である。



 行き帰りの電車で、寒川旭(さんがわ・あきら)著『地震の日本史――大地は何を語るのか』(中公新書/861円)を読了。

 地震考古学(考古学と地震学を合わせた新しい学問分野)の提唱者である著者が、これまでの研究をふまえ、縄文時代から現代までの日本史を地震の歴史としてたどったもの。元本は2007年刊だが、これは東日本大震災後に出た増補版。

 日本が世界有数の地震国であることを、我々は知識として知ってはいる。が、本書を読むと、それが改めて実感として迫ってくる。どの時代にも、地震と津波の被害によって多くの人々が塗炭の苦しみをなめてきたのだと……。

 テーマがテーマだけに「面白い」などと言うのははばかられるのだが、不謹慎を承知で言うと、古代から中世あたりまでの記述は退屈。いつごろどんな地震があったかをただ羅列しているだけという感じで、考古学か歴史の教科書のように無味乾燥なのだ。
 私は鎌倉時代の「正嘉の大地震」(日蓮が「立正安国論」を書く契機となった地震)についてくわしく知りたくて本書を手にとったのだが、「正嘉の大地震」については1ページほどしか記述がなくて、ガッカリ。
 まあ、考古学に関心のある読者なら前半部分も面白く読めるのだろうけど……。
 
 第四章「安土桃山時代」あたりから、俄然面白くなる。時代が現在に近づくほど史料が豊富になり、“地震をめぐる人間ドラマ”を描くことが可能となるからだろう。地震と鯰を結びつけて語った最古の史料は豊臣秀吉の手紙である、などという知識が得られるのも愉しい。

 あの山内一豊夫妻は、地震で6歳の一人娘を喪ったのだという。そのようなエピソードを通じて、日本人が昔から地震がもたらす悲しみと隣り合わせで生きてきたことがよくわかる。

 原発という言葉は2回くらいしか出てこないが、それでも本書を読むと、「こんな地震国に54基も原発を作るなんて、やっばり狂気の沙汰だよなあ」と感じざるを得ない。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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