団鬼六『死んでたまるか』


死んでたまるか 自伝エッセイ死んでたまるか 自伝エッセイ
(2010/11/12)
団 鬼六

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 昨日は、取材で福島県郡山市へ――。
 先月からつづいている大震災関連取材の一つ。近々、もう一度行く予定。
 先々週に盛岡に行ったばかりであるせいか、郡山がすごく近い感じがした。新幹線だと、東京からの時間は盛岡の半分だし。



 新幹線の車中で、団鬼六著『死んでたまるか』(講談社/1570円)を読了。
 先月亡くなった団鬼六の自伝エッセイ集。昨年11月に出たものだから、生前最後の著作ということになるのかな。

 書き下ろしかと思ったら、収録エッセイの大部分は既刊から再録したものだった。しかも、そのうちの多くは、私が前に読んだことのある『牛丼屋にて』『鬼六人生三昧』『快楽なくして何が人生』に入っていた文章。なので一瞬ガッカリしたのだが、再読でも十分面白かった。

 団の過去のエッセイから、彼の人生の各段階(少年期・青年期・中年期・老年期)を象徴するエッセイを選び、それらを年代順に編むことによって、自伝として読めるように構成されている。いわば、リミックス・ベスト形式による自伝エッセイ。

 「団鬼六自薦エッセイ集」と銘打たれた『牛丼屋にて』を読んだ際、私は当ブログのレビューで次のように書いた。

 しみじみとしたエッセイが多く選ばれており、「SM小説の巨匠」というイメージをくつがえすに十分である。
 とくに、戦時中の米軍捕虜との交流を綴った「ジャパニーズ・チェス」や、大学時代の風変わりな恩師の思い出を綴った「ショパンの調べ」、間一髪で交通事故死をまぬかれた記憶を振り返った「頓死」、書名になった「牛丼屋にて」などは、上質の短編小説のような味わいをもつ名編だ。



 ここにピックアップした「ジャパニーズ・チェス」「ショパンの調べ」「頓死」「牛丼屋にて」の4編は、本書にも収録されている。

 団の過去のエッセイ集をすでに読んでいる人は読まなくてもよい本だが、団鬼六初体験の人にはオススメできる一冊。味わい深い名編が目白押しだ。
 たとえば、有毒フグの肝のえもいわれぬ美味(!)について綴った一編「フグの食べ方教えます」などは、「究極のグルメ・エッセイ」ともいうべきものである。

 団鬼六は一般小説やエッセイでもいい作品をたくさん遺しており、「官能小説作家」というイメージで食わず嫌いをするのは損である。
 エッセイ集なら本書か『牛丼屋にて』か『一期は夢よ、ただ狂え』が、一般小説なら『真剣師 小池重明』がオススメ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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