中村勝雄『もう一度、抱きしめたい』


もう一度、抱きしめたい-脳性まひの僕に舞い降りたダウン星の王子さまもう一度、抱きしめたい-脳性まひの僕に舞い降りたダウン星の王子さま
(2011/05/19)
中村 勝雄

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 昨日は金沢八景駅近くで、作家・シナリオライターの中村勝雄さんを取材。
 中村さんの新著『もう一度、抱きしめたい――脳性まひの僕に舞い降りたダウン星の王子さま』(東京新聞出版局/1300円)の著者インタビューである。

 今日は早起きして1本原稿を仕上げ、ひと寝入りして午後にも1本コラムを仕上げる。今日書かなければならないリライト仕事の原稿が、あと2本。さらに、明日は書評の〆切なのだが、対象の本をまだ全然読んでいない(汗)。

 ……と、仕事ぶりを書き出してみると、おお、我ながらまるで売れっ子のようではないか(笑)。いや、実際にはたまたま重なっただけなんだけど。
「土俵の怪我は土俵の砂で治していくんですよ」とは初代若乃花の名言だが、今週の私は「重い原稿を書いた疲れは、軽い原稿を書いて癒すんですよ」みたいな感じ。

 さて、中村勝雄さん、通称「かっちゃん」は10年以上前からの古い友人であって、改まってインタビューなどするのは初めて。
 本の副題にもあるとおり、脳性まひで重度の障害をもった方。それでもいつも明るく、ものすごいバイタリティで人生を切り拓いてこられた。
 この『もう一度、抱きしめたい』は、6年前に生後432日で亡くなった彼の最初のお子さん――賢治くんのことを綴ったノンフィクションである。

 中村さんの代表作に、2001年に小学館ノンフィクション賞優秀賞を受賞した『パラダイス・ウォーカー』がある。これは中村さんが一人で挑戦した海外旅行の顛末を中心としたもので、「自らの障害を笑い飛ばして生きていくという内容」(本書のあとがきより)であった。
 いっぽう本書は、題材が題材だけに笑いの要素はほとんどなく、かなり重い。私は、いつも明るい中村さんの心の奥を初めて垣間見た気分になった。

 考えてみれば、物書きになるほど繊細な感受性をもつ人が、自分の重い障害に悩み苦しまないわけがない。中村さんの明るさは、苦悩を突き抜けて獲得したものなのだ。
 初めてその苦悩と悲しみをさらけ出し、亡き我が子の思い出を慈しむように綴った本書には、深い感動がある。宮内勝典さんに、生後5日で亡くなったお子さんのことを書いた『金色の象』という美しい中編小説があるが、あの作品にも匹敵する名作だと思った。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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