『江口寿史のお蔵出し 夜用スーパー』


江口寿史のお蔵出し 夜用スーパー江口寿史のお蔵出し 夜用スーパー
(2010/12/11)
江口 寿史

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 今日は、午前中に都内で打ち合わせが2件。久々に朝7時台の電車に乗った。昼前に2件も打ち合わせを終わらせると、一日がすごく有効に使えた気分になる。

 明日は取材で盛岡へ。あさっても取材で石川県七尾市へ。日帰りの地方取材が2日つづくと、けっこうキツイ。その間、原稿の〆切も矢継ぎ早だし……。



 『江口寿史のお蔵出し 夜用スーパー』(イースト・プレス/1260円)を購入。タイトルのとおり、これまで未単行本化だった江口作品を寄せ集めたもの。
 江口は1994年にも、同趣旨の『お蔵出し』という本を出したことがある。これは本当に箸にも棒にもかからない作品の寄せ集めであったが、本書は意外にもけっこうクオリティが高い。

 収められているのは、おもに1990年代から2000年代にかけて描かれたもの。未完に終わった連載、短編、掌編、コミックエッセイ、4コマなど、さまざまな形態の作品のごった煮になっており、おもちゃ箱をひっくり返したような趣。

 とくによいのは、短命に終わった月刊マンガ誌『アクションZERO』の連載「ゼロの笑点」として発表された一連のパロディ・ギャグ。これはオールカラーの連載でもあり、絵としてのクオリティも高い。
 畏れ多くも「トキワ荘の青春」をパロった「ドギワ荘の青春」シリーズが、もう最高。トキワ荘の人々から兄貴分として敬愛された「テラさん」を、まるで山上たつひこのギャグマンガのようなどす黒いキャラに仕立てている危険なパロディである。

 江口のギャグマンガ家としてのピークは、『寿五郎ショウ』『なんとかなるでショ!』『爆発ディナーショー』の「ショー三部作」にあったと思う。この「ゼロの笑点」は、『爆発ディナーショー』と同じ担当編集者との仕事でもあり、一冊分になるまでつづいていたら『爆発ディナーショー』に匹敵する傑作になっていたであろう。休刊による中断が惜しまれる。

 ほかにも、江口流の『サザエさん』パロディ「イソノの嫁」(グラビアアイドルのヒロインが磯野家に嫁いでくる話)のように、「あー、これもっとつづきが読みたい」と思わせる作品が多い。
 狩撫麻礼が変名で原作を書いたというストーリー・マンガ「平成大江戸巷談イレギュラー」(シャッター商店街の再生物語)なんて、やっと面白くなってきた感じの第5話で中断されており(たぶん江口が原稿落としたため)、まことに惜しい(※)。

※連載打ち切りまでの経緯をウォッチしていたページがあった(→このページ)。これによれば、本書収録の5話以降も何回か連載はつづいたようだ。うーむ、つづきが読みたい。

 江口が担当編集者と食べ物屋を探訪するだけのぬる~いコミックエッセイなど、つまらないものもあって玉石混淆ではある。が、マンガとしてつまらない場合でも、江口の描く女の子のカワイさは相変わらず絶品なので、絵として楽しめる。江口ファンなら必携の一冊。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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