竹中平蔵『竹中式マトリクス勉強法』


竹中式マトリクス勉強法竹中式マトリクス勉強法
(2008/10)
竹中 平蔵

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 竹中平蔵著『竹中式マトリクス勉強法』(幻冬舎)読了。

 いまや小泉純一郎とともに、「日本を格差社会化したA級戦犯」扱いされている竹中平蔵。
 小泉・竹中コンビが格差社会化を加速したのはたしかだが、根本原因を作ったわけではないだろう。「このコンビがいなければ格差社会にならなかった」とまで言うのは言いすぎで、世の不満をガス抜きするためのスケープゴートになっている面があると思う。
 ま、それはそれとして……。

 文章量も少なく、一時間もあれば読めてしまう本。傾聴に値する主張もけっこうあり、一読の価値はあった。

 ただ、タイトルは幻冬舎らしいハッタリで、いただけない。マトリクスが出てくるのは冒頭部分だけであり、残りの9割9分で述べられているのはごくふつうの勉強法である。竹中が「マトリクス勉強法」という画期的な勉強法を編み出したわけではないのだ。
 「売るためには、たとえ内容と齟齬があっても読者の目を引くタイトルにする」という感じの「幻冬舎式タイトル法」は、まことにえげつない。

 タイトルはともかく、内容は悪くない。勉強のノウハウを説いた実用書としても、読者の勉強意欲をかき立てる一種の自己啓発書としても、そこそこ役に立つ。
 あたりまえの話も多いから、この手の本を読み慣れている者にとって新鮮味には欠けるが。

 基本的には、竹中自身がこれまでやってきた勉強法を開陳した本である。ゆえに、勉強というフィルターを通した自叙伝という側面もある。「ぼっちゃま育ちでエリートコース一直線」というイメージの竹中が、意外にそうでもなく、下積みの苦労もしているし庶民的(な面もある)だということがわかって、好感を抱いた。

 「ホントにその通りだな」と思ったのは、「真の知識人は『たとえ話』に頼らない」という指摘。

 たとえ話は煎じ詰めると、まるでロジックが通らないデタラメがほとんどなのです。
 従って私の知る限り、真の知識人は、たとえ話はあまりしません。



 たしかに、たとえ話というのは、うまくはまるとすごく深いことを言っているように聞こえるものだ。しかし、よくよく考えてみると内容空疎な言葉遊びでしかなかったりする。

 なお、盟友・小泉純一郎を礼賛するくだりが随所にあるので、小泉ギライの人には不快な本だと思う。
 まあ、小泉ギライの人はたいてい竹中もキライだろうから、そもそも本書を手に取らないだろうが……。

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コメント

知識人
知識人というのは、たとえ話や比喩がうまいものだと思っていましたが、竹中さんのいうことも一理ありますねー!
  • 2011-05-31│14:20 |
  • 健太@宅建の勉強法 URL
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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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