片桐はいり『もぎりよ今夜も有り難う』


もぎりよ今夜も有難うもぎりよ今夜も有難う
(2010/07/30)
片桐はいり

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 片桐はいり著『もぎりよ今夜も有り難う』(キネマ旬報社/1680円)読了。

 個性派女優の著者は、18歳のころから7年間にわたって銀座の映画館でもぎり嬢として働いた。しかも、中学生時代から映画狂だった彼女は、高校生のころから「大学に入ったら映画館で働こう」と決めていたのだとか。
 そんな著者が、もぎり嬢時代の思い出を中心に、映画と映画館への愛を綴ったエッセイ集。『キネマ旬報』に連載されたもので、第82回キネマ旬報ベスト・テンで「読者賞」を受賞している。

 80年代小劇場演劇は故・如月小春など何人もの名文家を生んだが、片桐はいりもなかなかいい文章を書く。本書はエッセイ集としてたいへん上質で、講談社エッセイ賞とかを受賞しても不思議ではない仕上がりだ。前半だけなら……。

 というのも、後半になるとだんだん失速してつまらなくなってくるから。
 推察するに、もぎり嬢時代の思い出を印象的なものから順に書いていったら、連載途中でネタ切れしてしまったのだろう。最後のほうはたんなる「各地の映画館探訪記」になってしまっている。まあ、後半もけっして悪くはないのだが、前半に比べると一段も二段も落ちる。

 とはいえ、全編に満ちた熱い映画愛は、映画好きなら胸打たれずにはおれないだろう。バブル前夜~バブル期の古き佳き銀座を舞台にした、“しょうゆ味の『ニュー・シネマ・パラダイス』”という趣の好エッセイ集だ。

 片桐はいりのほかのエッセイ集も読んでみようと思う。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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