the band apart『Scent of August』


Scent of AugustScent of August
(2011/03/02)
the band apart

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 the band apartの新作『Scent of August』(asian gothic label/2800円)を購入。ヘビロ中。

 フルアルバムとしては『Adze of penguin』以来3年ぶり、5枚目。私は5枚のうち、今作がいちばん好きかも(暫定評価)。紙ジャケ仕様(サイズも大きめ)のジャケットもいい感じ。
 
 音のほうは、基本的にはこれまでの延長線上にある。

 ソウル、ファンク、ジャズなど、幅広い音楽の要素を取り込んで編み上げられた、知的で独創的でオシャレなロック。
 演奏はソリッドでテクニカル、曲構成は緻密で複雑。にもかかわらず少しも難解ではなく、どの曲もキャッチーでポップ。歌詞はすべて英語で、涼しげな美メロと、ポール・ウェラーをもっと甘くしたような荒井岳史のヴォーカルが耳に心地よい。
 ダンサブルなのに、クールで理知的。テクニカルなのに頭でっかちにならず、抜群の聴きやすさとノリのよさ。
 「the band apartはある種の“CITY-FUNK”さ」と、モック・オレンジのジョー・アッシャーが評したとおり、まぎれもない「都市の音楽」。

 と、そのようにこれまでの音楽性を踏襲しながらも、今作で打ち出された新生面としては、「静と動、メロウとハードの鮮やかなコントラストが織りなすダイナミズム」が挙げられる。

 たとえば、「スローナンバーかな」という感じで静かに始まって、途中のブレイクから轟音&高速フレーズの怒濤のアップチューンになる曲が多い。
 また、途中2曲あるskit(インタールード的意味合いの小曲)ではいずれも女性ヴォーカルがフィーチャーされ、これまでになくメロウなムードが醸し出される。そうしたメロウ・チューンを合間に挟むことによって、複雑でテクニカルないつものバンアパらしい曲のカッコよさがいっそう際立つのである。

  そして、本作のもう一つの特長は、全編にあふれる「夏っぽさ」である。
 「八月の香り」を意味するタイトルにするだけあって、どの曲にも夏の光や都市の夏の夜景を思わせる“きらびやかな切なさ”ともいうべきものが満ちているのだ。M4「light in the city」の歌詞(訳詞)にある次のような一節は、このアルバムのカラーを象徴するものだ。

僕たちは 煌めく銀色のノイズ
(中略)
街にあふれる 壊れたノイズ
僕たちは夏の日を走り抜ける



 夏の日にこのアルバムを聴くのが楽しみだ。





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コメント

the band apart好きです。まだアルバムは買ってないんですが、レビュー読んで欲しくなりました。
未だにSurface epリピート中なんでヤバいですね笑
  • 2011-05-20│23:07 |
  • 真己 URL│
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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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