リー・リトナー『シックス・ストリング・セオリー』


シックス・ストリング・セオリーシックス・ストリング・セオリー
(2010/06/23)
リー・リトナー

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 リー・リトナーの『シックス・ストリング・セオリー』を聴いた。

 といっても、これはリトナーのソロアルバムではなく、世界20人の著名ギタリストが集った競演作である。リトナーは中心ミュージシャンであると同時にプロデューサーであり、アレンジャーでもあるという役回り。
 収録曲目とギタリストたちは以下のとおり。

1. レイ・イット・ダウン feat.ジョン・スコフィールド&リー・リトナー
2. アム・アイ・ロング feat.ケブ・モ&タジ・マハール
3. L.P.(フォー・レス・ポール) feat.リー・リトナー、パット・マルティーノ&ジョーイ・デフランセスコ
4. ギヴ・ミー・ワン・リーズン feat.ジョー・ボナマッサ&ロバート・クレイ
5. “68” feat.スティーヴ・ルカサー、ニール・ショーン&スラッシュ
6. イン・ユア・ドリームズ feat.スティーヴ・ルカサー、リー・リトナー&ニール・ショーン
7. マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ feat.ジョージ・ベンソン
8. ムーン・リヴァー feat.ジョージ・ベンソン&ジョーイ・デフランセスコ
9. ホワイ・アイ・シング・ザ・ブルース feat.B.B.キング、ヴィンス・ギル、ケブ・モ、ジョニー・ラング&リー・リトナー
10. ダディ・ロングリックス feat.ジョー・ロビンソン
11. シェイプ・オブ・マイ・ハート feat.リー・リトナー、スティーヴ・ルカサー&アンディ・マッキー
12. ドリフティング feat.アンディ・マッキー
13. フリーウェイ・ジャム feat.マイク・スターン、布袋寅泰&リー・リトナー
14. ファイヴス feat.ガスリー・ゴーヴァン&タル・ウィルケンフェルド
15. カプリース 作品20の2と7 feat.ショーン・ブーブリル
16. ムーヴィン・ウェス feat.パット・マルティーノ&リー・リトナー



 私はこのうちの「フリーウェイ・ジャム」をネットラジオで聴いて、「お、カッコイイ!」と思い、アルバムに手を伸ばしてみた。
 「フリーウェイ・ジャム」は、ジェフ・ベックの名盤『ブロウ・バイ・ブロウ』に入っていた曲。それをマイク・スターンと布袋寅泰(!)とリトナーの競演で、原曲以上にロック的なアレンジでやっているこの曲は、私にとっては本アルバムのベスト・トラックである。



 で、アルバム全体もハード・フュージョン路線かと期待して聴いてみたのだが、残念ながらそうではなかった。あとはM5、6、14がそれに当たる程度。以上の4曲はよかったが、ほかがどうもいただけない(※)。

 ヴォーカル入りの渋いブルース・ナンバーがあったり、ジョージ・ベンソンがウェス・モンゴメリーばりのギターを聴かせるメロウな曲があったり、クラシックがあったり、スティングの「シェイプ・オブ・マイ・ハート」のしょぼいカヴァーがあったり……とまあ、やたらとバラエティ豊かな内容なのだが、あまりにも多彩すぎて散漫なアルバム。バラエティに富めばいいってもんじゃないと思う。

 私のようにハード・フュージョンを期待する向きにはメロウな曲やヴォーカル入りの曲が邪魔に思えるし、逆にハードな曲を不快に思うリスナーもいるだろう。総花的にいろんな音楽を詰め込んだばかりに、全体の印象が希薄になってしまっているのだ。

 人気ギタリストの競演が売りのアルバムはほかにも山ほどあるが、その中でも本作はおそらく最も豪華な顔ぶれであろう。20人という人数もすごいが、スラッシュからB.B.キングまでが同じアルバムに入っているという幅の広さもすごい。その豪華さがマイナスに作用して出来が散漫になってしまったのは皮肉である。

 日本の人気フュージョン・ギタリスト4人が競演した『ギター・ワークショップ』というオムニバスが昔あったが、競演するにも3~4人くらいに絞ったほうが、アルバムとしての統一感が保ててよいのだろう。アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシアが組んだ「スーパー・ギター・トリオ」というのもあったし……。

 まあ、どの曲も当然のことながらギターは素晴らしいし、アレンジもいいから、そこそこ愉しめるアルバムにはなっているのだが。

※注/その後、聴き込むうちに好きな曲が増えた。M1、3、4、9、12あたりもなかなかよい。このエントリに書いた最初の印象より、傑作かもしれない。

■関連エントリ→ リー・リトナーとANRI

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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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