古長谷稔ほか『放射能で首都圏消滅』


放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策
(2006/04)
古長谷 稔、食品と暮らしの安全基金 他

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 今日は、新宿で打ち合わせ。
 行き帰りの電車で、古長谷 稔・食品と暮らしの安全基金著『放射能で首都圏消滅――誰も知らない震災対策』(三五館/1260円)を読了。

 版元の社長・星山佳須也さんより献本いただいたもの。
 星山さんは情報センター出版局時代、椎名誠を世に出し、藤原新也の『メメント・モリ』などをベストセラーにした、「伝説の名編集者」である。(→参考ブログ)

 本書は2006年に刊行されたものだが、今回の大震災と原発事故を受けて緊急重版されたという。ベストセラー・リストにも名をつらねている。
 
 大地震で原発がクラッシュし、放射能汚染が広がる「原発震災」の恐ろしさを訴えたもの。ただし、本書が扱っているのは、東海大地震で浜岡原発(静岡県御前崎市)がクラッシュし、風下に位置する首都圏が放射能で汚染されるというクライシスである。
 タイトルはいささか大げさな気がするが、ごく近い将来必ず来る東海大地震に際して十分起こり得る現実を解説した、恐るべきノンフィクションなのだ。

 一足先に別の大震災と原発事故が現実となったいま、本書を読むと、今日の事態を予見したかのような一節が随所にあって、ぞっとする。たとえば、次のような一節――。

 地震の後、原発で事故が起こっても、政府や行政、電力会社から放射能に関しての正しい情報はすぐには出ない、と考えておくのがいいでしょう。



 原子炉が入っている原子炉建屋は、“壁”は非常に強くできていますが、“屋根”は最低限の強度しかありません。



 哀しくもオソマツな津波対策――コントロールできなくなって、原発暴走(※これは項目タイトル)



 本書は多くのページにマンガチックなカラーイラストが入り、図表も豊富で、ページ数は正味120ページほどなので、すぐに読み終わる。しかし、見た目の平明さとは裏腹に、内容はハイレベルである。原発震災の恐ろしさと浜岡原発の危険性が、あらゆる角度から説得的に示されている。
 また、浜岡原発の設計に携わったエンジニアなどによる「内部告発」を三連発で入れるなど、完全に硬派ジャーナリズムの手法で作られている。じつによくできた本だと思う。

 東海大地震→浜岡原発のクラッシュという惨事が起きたとき、どう身を守ればよいかも詳述されているので、いま一読しておく価値は十分にある。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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