![]() | あなたを天才にするスマートノート (2011/02/25) 岡田 斗司夫 商品詳細を見る |
岡田斗司夫著『あなたを天才にするスマートノート』(文藝春秋/1575円)読了。
ダイエット本『いつまでもデブと思うなよ』でベストセラーをかっ飛ばした「オタキング」岡田斗司夫が、こんどは「ノート術」本の世界に挑んだ一冊。
もっとも、ここに紹介されているノート術を、岡田は過去10年以上にわたってつづけてきたそうだから、『いつまでも~』のヒットに味をしめて急ごしらえしたわけではないらしい。
長たらしい「まえがき」の文章が、詐話師の口ぶりのようないやらしい感じのもので、読んでいてウンザリ。「こんなうまい話に、あなたは乗らないんですか?」と煽り立てるような、「自分はすべてを知っているんだ」的文章。もう、うさん臭さ満点なのである。
なので「まえがき」だけで放り出そうかとも思ったのだが、本文を読んでみたらわりと面白かった。
『いつまでもデブと思うなよ』はダイエット本として非常によくできた内容だったが、本書も「ノート術」本として上出来。実際にどれほどの効果があるかはさておき、「私もこのノート術に挑戦してみようかな」と読者に思わせるだけの説得力がある。
■関連エントリ→ 『いつまでもデブと思うなよ』レビュー
ノート術といえば、一般には情報整理術、あるいは時間管理術である場合が多い。しかし、本書で説かれるノート術に、情報整理術・時間管理術としての側面はほとんどない。
むしろメインとなるのは、発想術だ。そう、これは風変わりな「アイデア本」。ノートに書きつける内容を通じて自己の内面との対話を進め、そのことによってアイデアや独創性の泉を湧き立たせる極意を説いた本なのである。
著者自身も、「スマートノート」の「機能」として、「セルフ・カウンセリング機能」「セルフ・マネジメント機能」「コミュニケーション機能」の3つを挙げている。
最後の「コミュニケーション機能」とは何かというと、著者は「スマートノート」を、他者とのコミュニケーションにも使う(ホワイトボード的に人に見せながら書き込むなど)ことを推奨しているのである。
「アイデア本」として見た場合にも、本書は類書と比べてかなり秀逸な部類に入ると思う。
著者のいう「スマートノート」の具体的な書き方については、ここでは紹介しない。興味のある向きは実際に読まれたし。
私自身は、著者の主張するノート術に半分くらい同意。つまり、本書で説かれる「第1フェーズ」から「第6フェーズ」へと進むノート術を、そのままやる気にはとてもなれなかった。「そんなムダなことやってられるかい」という部分が少なくなかったのである。
ただ、本書の内容をアレンジして、私なりのスマートノート術(自分だけのための)を作り上げてみたいとは思った。そう思わせるくらいの吸引力と説得力が、本書にはある。
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