チャド・ワッカーマン『フォーティー・リーズンズ』


40 Reasons40 Reasons
(2001/03/06)
Chad Wackerman

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 チャド・ワッカーマンの1991年作品『フォーティー・リーズンズ』を聴いた。

 フランク・ザッパ・バンドの腕利きドラマーとして名を上げたワッカーマンの、最初のリーダー作。ギターにアラン・ホールズワース、ベースにジミー・ジョンソンを迎えたジャズ・ロック・アルバムである。

 ちなみに、最初に出た日本盤には『40の言い訳』なる邦題がつけられていたそうだ。日本語にするとムード演歌みたいですな(笑)。

 ホールズワースが全面参加したドラマー主体のジャズ・ロック・アルバムといえば、トニー・ウィリアムスの名作『ビリーヴ・イット』を思い出す。『ビリーヴ・イット』は私も大好きなアルバムなので、「あんな感じのジャズ・ロック」を期待して手にとった。

 その期待は、半分裏切られ、半分はかなえられた。
 『ビリーヴ・イット』は、高度なジャズ・ロックでありながら一面では非常にポップでキャッチーなアルバムだった。とくに、「フレッド」「プロト・コスモス」「ワイルドライフ」などという曲はロック的な躍動感に満ちており、むしろロック・ファンにこそ愛される音だったのだ。


↑トニー・ウィリアムスの「プロト・コスモス」

 しかし、このアルバムは『ビリーヴ・イット』ほどポップでキャッチーではない。もっと複雑かつフリーフォームで、ある面では実験的ともいえるジャズ・ロックが展開されているのだ。ゆえに、「うーん、演奏は申し分ないけど、曲に魅力がないなあ」というのが最初の印象であった。
 収録曲はすべてワッカーマン自身の作曲になるものだが(一部はホールズワースらとの共作)、なにしろ「ザッパ・スクール」の卒業生であるからして、キャッチーなフレーズは避けてしまうのだ。

 が、聴きこむうちにすごさがわかってきた。冷たい火花が散るような緊密で美しいインタープレイが随所でくり広げられ、非常に芸術性の高いジャズ・ロック・アルバムになっているのだ。

 とはいえ、ホールズワースはバリバリ弾きまくり、ワッカーマンは叩きまくりであり、けっして難解ではない。むしろ、最高にクール。ジャズ・ロックの隠れた名盤の一つといえる。


↑アルバムのオープニング・ナンバー「狂暴な休日」(Holiday Insane)

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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