ヴァイタル・テック・トーンズ『Vital Tech Tones』


Vital Tech TonesVital Tech Tones
(1998/06/09)
Scott Henderson、Steve Smith 他

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 ヴァイタル・テック・トーンズのファースト・アルバム『Vital Tech Tones』(1998)を輸入盤で購入。
 
 スコット・ヘンダーソン(G)、スティーヴ・スミス(Dr)、ヴィクター・ウッテン(B)という超絶技巧ミュージシャン3人が集ったセッション・アルバムである。

 タイトル=バンド名は、3人がそれぞれやっている別のバンド名から一語ずつ取ったもの(スティーヴの「ヴァイタル・インフォメーション」、スコヘンの「トライバル・テック」、ヴィクターの「ベラ・フレック&フレックトーンズ」)。

 3つのバンドのうちでは、本作はトライバル・テックにいちばん近い感じ。ギターの音にブルースのスパイスをたっぷりきかせた、激辛ハードコア・ジャズ・ロックである。ジャケットはブートレッグみたいで安っぽくてダサイけど、中身は最高にカッコイイ。

 ふつう、どんなにハードなジャズ・ロック・アルバムでも、ハードな曲ばかりではなく、バラード・ナンバーとかピアノの美しいアコースティックな曲なんかを合間に挟んだりするものである。ところがこのアルバムには、そのような息抜き・箸休め的な曲が一つもない。最初から最後までハードな曲ばかり。しかも、キーボードやサックスなど、柔らかい色合いを添える楽器が使われておらず、ギター・ベース・ドラムスのトリオだけで突っ走るのである。
 もちろん、ヴォーカルやコーラスも一切なし。ギター・ベース・ドラムスが、まるで闘い合うかのように音を切り結び、ほかの楽器やヴォイスは入る余地がないのである。


↑アルバムのオープニング・ナンバー「Crash Course」

 3人ともゴツゴツと野太い音を出すミュージシャンでもあるため、男臭さがいっそう際立っている。超絶技巧の応酬で聴かせるアルバムというと、ふつうは流麗な印象になるものなのに、本作はまったく流麗ではない。きわめてテクニカルなのに無骨で荒々しいのだ。それでいて、鉈彫りの仏像のような飾らぬ美しさがある。一般的なジャズ・ファンよりも、むしろハード・ロック・ファンあたりに聴かせたい、甘さを排した硬派なジャズ・ロック・アルバムだ。
 大いに気に入った。2000年発表のセカンド・アルバム『VTT2』も手に入れることにする。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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