山本弘『ニセ科学を10倍楽しむ本』


ニセ科学を10倍楽しむ本ニセ科学を10倍楽しむ本
(2010/03)
山本 弘

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 山本弘著『ニセ科学を10倍楽しむ本』(楽工社/1995円)読了。

 「と学会」会長にしてSF作家の著者が、巷にあふれるニセ科学の数々をバッサバッサと斬っていく本。アニメ絵の表紙が示すように、子ども向けの科学啓蒙書として書かれたものである。

 中学生の娘とそのボーイフレンドを相手に、小説家で科学にくわしいパパがニセ科学のいいかげんさを説いていく問答形式になっている。

 「本書は大人も子ども(小学校高学年程度以上)も楽しめるように工夫して作ってあります。ご自分が読んでみた後、よろしければ周囲の子どもたちにも読ませてあげてください」と但し書きがある。
 なるほど、オジサンの私にも十分楽しめる一冊ではあった。しかし、この内容は小学生には難しすぎると思う。むしろ、高校生・大学生あたりに読ませたい感じである。

 章立ては次のようになっている。

第1章 水は字が読める?
第2章 ゲームをやりすぎると「ゲーム脳」になる?
第3章 有害食品、買ってはいけない?
第4章 血液型で性格がわかる?
第5章 動物や雲が地震を予知する?
第6章 2012年、地球は滅亡する?
第7章 アポロは月に行っていない?
第8章 こんなにあるぞ、ニセ科学
エピローグ 疑う心を大切に



 「と学会」でやってきたトンデモ本を楽しむ活動が本書のベースになっているのだろうが、『トンデモ本の世界』シリーズのようなツッコミ芸の笑いには乏しい(ニヤリとさせるアイロニーは随所にあるが)。タイトルとは裏腹に、意外に真面目な本だ。と学会の本なら、『トンデモ超常現象99の真相』あたりに近い。

 アマゾンのカスタマー・レビューを読んでみたら「論の展開が強引すぎる」という批判があったが、私はそう感じなかった。本書は代表的なニセ科学を総花的に取り上げたものなのだから、二セ科学への批判に緻密な論証を求めるのは筋違いではないか。
 たとえば、「アポロは月に行っていない」というおなじみの陰謀論については、山本ら「と学会」の面々は別途『人類の月面着陸はあったんだ論』を上梓している。緻密な論の展開が求めたければ、そのような“ワンテーマ一冊”の検証本を読めばよいのである。

 むしろ私は、ワンテーマ原則一章の短い紙数の中で、山本がうまく話をまとめていることに感心した。メディア・リテラシーの大切さを実例を通して教える本として、秀逸だと思う。こういう本こそ学校で読ませればよいのに。

  
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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