パオロ・マッツァリーノ『13歳からの反社会学』


13歳からの反社会学13歳からの反社会学
(2010/09/10)
パオロ・マッツァリーノ

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 パオロ・マッツァリーノ著『13歳からの反社会学』(角川書店/1470円)読了。

 『反社会学講座』などで知られる著者(当然インチキ・イタリア人で、その正体は某大学の准教授……らしい)が、中高生を対象に書き下ろした、“ジュニア版『反社会学講座』”である。

 著者パオロが、留吉と愛美という2人の中学生を相手に、ナナメから見た世の中の仕組みを講義するというスタイルをとっている。“紙上掛け合い漫才”のような趣。
 中高生向きとはいっても、内容は基本的に『反社会学講座』の延長線上にある。社会学の手法や論理をイジワルな形で援用した知的エンタテインメントである。『反社会学講座』との違いは、イラスト(朝倉世界一!)が随所にちりばめられていたり、ちょっと難しい言葉を使うときにはその語の解説が入ったりといった点くらい。各回の内容やテーマが子どもっぽいわけではない。

 本書は、中高生にメディアとの賢い接し方を教えるメディア・リテラシーの生きた教科書としても、また論理学の基礎の基礎を教えるテキストとしても読める。ただし、教科書然とした無味乾燥な記述ではなく、笑いとアイロニーに満ちたやり方で教えるのだ。

 たとえば、少し前のベストセラー『東大合格生のノートはかならず美しい』に言及して、パオロはこんなふうに言うのだ。

 あの説は面白い現象に目をつけましたけど、原因と結果をごっちゃにしてますね。
 勉強したことをきちんと理解できて、アタマの中が整理されれば、整理された美しいノートを作れる。それだけのことなんです。アタマの中がごちゃごちゃしてる人には、美しいノートは作れません。美しいノートは、習ったことを理解しているという結果であって、原因ではありません。だから、美しいノートを作れば成績がよくなって東大へ行けると考えてる人がいたら、それはまちがってます。



 アンケート調査の偏りの見破り方とか、アマゾン・レビューなどの★の平均値にはなんの意味もない、とか、「新聞を百倍おもしろく読むコツ」とか、各章のテーマ設定も面白く、大人が読んでも十分愉しめるし、ためにもなる。むしろ、いまどきの幼い中高生にはちょっと内容がハイブラウすぎるのではないかと心配になる。いまなら大学生に読ませてちょうどいいくらいの内容だと思う。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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