パトリシア・ガーフィールド『夢学(ユメオロジー)』


夢学(ユメオロジー)―創造的な夢の見方と活用法夢学(ユメオロジー)―創造的な夢の見方と活用法
(1993/02)
パトリシア・L. ガーフィールド

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 パトリシア・ガーフィールド著、花野秀男訳『夢学(ユメオロジー)――創造的な夢の見方と活用法』(白揚社)読了。

 最近、「自分の夢をコントロールする方法」に関心がある。
 脳科学が教えるところによれば、夢は記憶の整理作業なのだそうだが、同時に「心の整理作業」でもあるのではないか。つまり、昼間の顕在意識の中では整理のつかない心のもやもやを、夢を見ることで解消できる場合があると思うのだ。

 こんな話がよくある。
 何か謝らなければいけないことがある相手が、謝らないうちに亡くなってしまった。そのことで深い後悔を感じていたが、あるとき、夢の中でその人に謝ることができ、相手はにっこり笑って赦してくれた。その夢を見たことによって、ずっと抱いていた後悔の念が消えた。

 もっと下世話な例でいうと、嫌いな上司に対するイライラをずっと抱えていたが、その上司を思いっきりタコ殴りにする夢を見たらすごくスッキリした、とか(笑)。

 そのように、夢というものは、ときに深い次元での癒し・ストレス解消につながる。だとすれば、そうした夢の効用を、もっと意識的に活用できないものかと思うのだ。
 本書の著者など一群の夢の研究者たちは、「夢をコントロールする方法はある」と主張している。ただし、そのためには訓練が必要なのだという。

 本書は副題のとおり、「創造的な夢の見方と活用法」を網羅的に紹介した概説書。夢を創作に活かした芸術家たちのエピソード、アメリカインディアンやマレーシアのセノイ族の夢コントロール法の紹介など、盛りだくさんな内容で、実用書であると同時に「夢の博物誌」としても愉しめる。
 「これは夢だ」と自覚しながら夢を見る、いわゆる「明晰夢」(本書の表記は「自覚ある鮮明な夢」)を見るコツについても、一章が割かれている。

 諸星大二郎の傑作短編「夢みる機械」など、見たい夢を自在に見ることができる世界をユートピアとして描いた作品は数多いが、トレーニングによってそれが実現可能となれば、挑戦する価値は大いにあるというものだ。
 ただしそれは、「見たい夢を見られたら、毎晩眠るのが楽しくて仕方ないよなあ」というだけの話ではない(笑)。本書によれば、夢をコントロールし、上手に活用することで、より創意豊かで洞察力の鋭い人間に成長できるというのだ。

 あなたのみる夢はどれもあなたの子供なのだ。どの夢も気長に見守ってやるとよい。そうすれば、夢は、あなた自身へ並外れた洞察力をもたらしてくれることだろう。



 この手の話は一歩間違えばオカルトだが(じっさい、明晰夢と幽体離脱を一緒くたに扱った書物もある)、そうならない範囲で、今後少し探求してみたい。そのとっかかりとしてはわりとよい本だった。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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