内田樹『街場のマンガ論』


街場のマンガ論街場のマンガ論
(2010/10/04)
内田 樹

商品詳細を見る


 一昨日から昨日にかけて、取材で神戸へ行っていた。神戸大学教授で経営学者の加護野忠男さんの取材である。これで今年の取材は終わり。

 行き帰りの新幹線の中で、内田樹さんの『街場のマンガ論』(小学館/1470円)と、佐藤泰志著『海炭市叙景』(小学館文庫)を読了。
 
 『街場のマンガ論』は、おもに内田さんのブログからマンガ関連のエントリを集めたもの。巻末に養老孟司氏との対談「戦後漫画家論」も収められている。

 本書については、筋金入りのマンガ・マニアである漫棚通信さんが、ブログで酷評していた(→こちらのエントリ)。
 いわく、「展開される説はおもしろいけど、思いつきだけのところが多くてかなり乱暴、という本でした」。
 私の感想も、おおむね同じ。内田さんの本はこれまで十数冊読んできたが、正直なところ、その中で本書がいちばんつまらなかった。

 そもそも、マンガ論を集めたと言いながら、マンガと直接関係ない文章も多い。第5章は丸ごと「宮崎駿論」だし、その中身も宮崎アニメの感想でしかない。第2章「マンガと日本語」に集められた文章の多くは、「これをマンガ論としてくくるのはちょっと無理だろ」という代物。
 ベストセラー連発の内田さんの「初のマンガ論集」を出してほかの著作と差別化しようという企画意図はよいのだが、これは一冊にするには時期尚早だったと思う。

 漫棚通信さんがツッコミを入れている箇所以外にも、首をかしげる記述が少なくない。
 たとえば、『ビッグコミックスピリッツ』について、「一八歳から二四歳くらいまでの就活中、ニート、引きこもりなど、将来が決まらないでうじうじしている男性読者をメインターゲットにした雑誌」と規定している。『スピリッツ』が“モラトリアム男子用マンガ誌”だとは知らなかったよ(笑)。

 まあ、中には面白い文章もある。『エースをねらえ!』を“師弟論マンガ”として読み解いた(!)文章などは、内田さんならではのものだ。

関連記事

トラックバック

コメント

【内田樹の研究室】才能の枯渇について―【私の補足】利他的な動機から本当の知恵が生まれてくる!!
ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」

こんにちは。私は、神戸女学院の内田先生が、公表しておられる、「内田樹の研究室」というブログは時々参照させていただいています。このブログで最近、「才能の枯渇」という記事が掲載されていました。私は、この記事に啓発され、この記事の内容を強化する意味での補足を自分のブログに掲載しました。その補足の結論は、『誰もが自分のためにだけものを考えていたのでは、限界があるということです。しかし、利他的に物を考えたときに、それまでの思考段階を突破し、統合的思考の段階に到達し、その限界を突破することができるということです』というものです。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

ブクログ・MY本棚

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
43位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
30位
アクセスランキングを見る>>