呉智英『マンガ狂につける薬 二天一流編』


マンガ狂につける薬 二天一流篇マンガ狂につける薬 二天一流篇
(2010/12/01)
呉 智英

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 呉智英著『マンガ狂につける薬 二天一流編』(メディアファクトリー/1260円)読了。

 佐々木倫子の『チャンネルはそのまま!』の3巻を買いに行ったところ、この本も売っていたので一緒に購入。
 『チャンネルはそのまま!』は、相変わらずのハイクオリティー。一編一編がすごく緻密に作られたウェルメイドなコメディである。このクオリティーを完結まで維持できたらすごいことだ。

■関連エントリ→ 『チャンネルはそのまま!』1巻レビュー

 『マンガ狂につける薬』は、雑誌『ダ・ヴィンチ』に1995年から長期連載されているコラムの単行本化第4弾。本巻には2006年6月号から本年9月号連載分までが収録されている。
 私はこのシリーズの単行本が出るたびに買っているが、こちらも安定したクオリティ。まあ、あまり調子の出ていない回もあるが、そういう回でも、一つや二つは何かしら価値ある情報が盛り込まれている。マンガ・ガイド、ブックガイドとしても有益である。

 シリーズの中身などについては、前巻にあたる『マンガ狂につける薬 下学上達編』のレビュー(→ こちら)をご参照あれ。ここでは、本巻の中から私が傍線を引いた箇所をいくつかピックアップ。

 作家の中村うさぎは浪費の女王として知られている。(中略)しかし、中村が真の意味で浪費の女王なのは、才能を浪費しているからだ。誰もが言うことだが、この人は頭がいい。マスコミがもてはやす女性大学教授連中など較べものにならないほどの優秀な頭脳を持っている。そんな頭脳をライトノベルやエッセイに使うのが浪費なのである。中村は哲学者になるべきであった。



 我々は教育を絶対善だと思っている。ちがう。教育は必要悪なのである。それは初めに少し触れたように、政治に似ている。政治も必要悪なのである。この二つのちがうところは、政治に深く関与した人ほど、それが必要悪だと気づくのに、教育に深く関与した人は、それが絶対善だとますます信じ込むところである。



 「クリエィティブ」なんていう言葉に憧れてるあなた。あなたは若い。青い。この言葉のすぐ裏には人間の業の深さが真黒なヘドロとなってはりついている。マンガ界も、そうだ。ユーモアだ、諷刺だ、感動だ、笑いだ、なんていったって、それを描いているマンガ家を駆動しているのは業である。金が欲しい、女にもてたいあたりは、まだ業も浅い。クリエイティブでありたいとなると、救われないほど業が深い。だって、金や女とちがって、クリエイティブなんて、測る基準がないんだもの。



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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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