苫米地英人『幻想と覚醒』


幻想と覚醒幻想と覚醒
(2010/09/25)
苫米地英人

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 苫米地英人著『幻想と覚醒』(三才ブックス/1365円)読了。

 一種の自己啓発書ではあるものの、某や某々の自己啓発書よりはるかに深い内容だ。なにしろ、空観などの仏教哲学をふまえて悩みや迷いを振り切る方途が説かれているのだから……。

 文章に生の形ではあまり出ていないが、内容は思いっきり仏教寄りである。「おわりに」には、種明かしでもするかのようにそのことが表明されている。

 私は釈迦の教えを哲学として学び、脳科学に応用してきました。釈迦の教えは、生き方についての哲学であり、死に方や死後の世界の話ではありません。



 過去の著作のくり返しも多く(いつものことだが)、苫米地本を読み慣れた人なら30分で読めてしまう本。それでも、中には卓見もあって、一読の価値はあった。

 私にとって目からウロコだったのは、同じ「自由」でも「Freedom」と「Liberty」は違う、という話。

 フリーダムは、「~からの(from)自由」というように、自由になるための起点があります。一方、リバティは、起点さえもこちらで選ぶことができます。つまり、「~をする(to)自由」です。



 フリーダムは「束縛からの自由」を意味するが、リバティは自ら「束縛される自由」をも含む、と苫米地は言う。そして、そこから敷衍して、キリスト教の「戒」と仏教の「戒」の本質的差異を論じていく。

 キリスト教の「戒」は破れば神から罰を受けるが、仏教の「戒」は破っても罰を受けることはない。なぜなら、それはあくまで自己責任の「戒」であり、理想を達成するために修行者があえて自らに課した束縛だから、と……。

 そして、この世に満ちたさまざまな束縛も、その根拠を探り吟味したうえで、あえて束縛されることを自分で選択したならば、それは束縛ではなくなる、という。ううむ、深い。

 最近の苫米地本は、仏教哲学と脳科学を援用した自己啓発書という、他に類を見ない領域に入り込んでいるのだ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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