安保徹『人が病気になるたった2つの原因』


人が病気になるたった2つの原因 低酸素・低体温の体質を変えて健康長寿!人が病気になるたった2つの原因 低酸素・低体温の体質を変えて健康長寿!
(2010/07/28)
安保 徹

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 安保徹著『人が病気になるたった2つの原因――低酸素・低体温の体質を変えて健康長寿!』(講談社/1260円)読了。

 「世界的な免疫学者」であるらしいこの著者の本は、以前『医療が病いをつくる』というのを読んだことがある。そのときに書いた書評をコピペしておこう。

 近年、現代医療への批判が、ほかならぬ現代医療の最前線に立つ人々からもなされるようになってきた(近藤誠の『患者よ、がんと闘うな』など)。本書もその一つに位置づけられる。第一線の免疫学者による、具体的かつ根源的な現代医療批判だ。

 「病気の80%は広い意味のストレスや、医療における薬剤使用上の間違いによって起こっている」と、著者は言う。「間違い」とは、医療ミスのことではない。現代医療の薬剤処方に、じつは根本的な過誤があるとの主張なのだ。たとえば、消炎鎮痛剤やステロイド剤などは、一時的に症状は抑えるものの、結局は病気を悪化させるという。また、ストレスを避け、自然治癒力を高めることによって、多くの病気は防げるともいう。

 こうした主張自体は従来の現代医療批判の枠内にあり、目新しさはない。ただ、本書ではそれらの主張が、自律神経学や内分泌学なども視野に入れた広義の免疫学的知見で逐一裏づけられていくので、説得力がある。

 たとえば、著者によれば、腰痛の多くは筋肉疲労による血流障害に起因する。だが、病院で処方される消炎鎮痛剤は、痛みを引き起こす物質の合成を阻害することによって痛みだけを一時的に消し、血流障害をむしろ悪化させるという。このように、“薬が病気を悪化させるメカニズム”が、さまざまな病気別にくわしく解説されていく。

 そして著者は、現代医療が対症療法から脱却し、心身の不調和を改善することで病を癒す「原因療法」に進化する方途を模索している。ためにする批判ではなく、前向きな問題提起の書だ。



 基本的スタンスは本書も同じで、現代医療に対する根源的批判をふまえ、自然治癒力を活性化させることで病気を治そうと訴える内容。代替医療に肩入れする姿勢も共通だ。

 ただ、『医療が病いをつくる』は、本書よりずっとまともな内容だった気がする。その後ベストセラーを連発するうち、だんだん「トンデモ化」が進んできた印象を受けるのだ。
 トンデモ記述の例を挙げる。

 ストレスが重なって胃がキリキリ痛むことが多い人は、胃が低酸素・低体温にさらされていると考えられます。この状態が持続すると細胞の過剰分裂が始まり、やがて胃ガンになるわけです。
 これと同様に考えれば、心配事で胸が塞がれてばかりいると肺ガンになり、おしゃべりな人は喉頭ガンになりやすいことがわかります。
(中略)
 また、悩み事ばかりを抱えている人は頭にストレスがたまりやすく、低酸素・低体温により脳腫瘍などが現れやすくなります。
 胸の大きな女性が乳ガンにかかる場合、胸が突出していて冷えやすい=分裂がうながされるから、という理由も考えられます。(101~102ページ/太字強調は引用者)



 肺ガンになりやすい「心配事」と、脳腫瘍になりやすい「悩み事」はどう違うんだ(笑)とか、ツッコミどころがたくさんある。

 本書にはまっとうなこと(てゆーか、わりとあたりまえの健康の知恵)もたくさん書いてあるのに、こんなトンデモ記述があると、たちまち全体が眉ツバに思えてくる。

 人間が体内でエネルギーを作るやり方には、酸素を使わない「解糖系」と酸素が必要な「ミトコンドリア系」があり、両者のバランスを保つことが健康の秘訣だ、という、本書の根幹になっている主張は斬新(当否はともかく)なのだけれど……。

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  • 2011-08-01│07:17 |
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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