『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』


ファイヴ・ピース・バンド・ライヴファイヴ・ピース・バンド・ライヴ
(2009/02/04)
チック・コリア&ジョン・マクラフリン

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 『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』(ユニバーサル/3500円)を聴いた。
 チック・コリアとジョン・マクラフリンの2人を中心とした(おそらく一回限りの)バンド「ファイヴ・ピース・バンド」が、2008年に行なったヨーロッパ・ツアーの2枚組ライヴ・アルバム。

 チック・コリアとジョン・マクラフリンといえば、ジャズ・ロック史上最強を争う2つの名バンド――リターン・トゥ・フォーエヴァーとマハヴィシュヌ・オーケストラを、それぞれ率いていた大物同士である(2人はマイルス・ディヴィスのアルバムなどで過去に共演したことはあるものの、本格的にタッグを組むのはこれが初)。
 しかも、今回はバンド名義。となれば、RTFやマハヴィシュヌのような激越なジャズ・ロックを期待するのが人情というものだろう。ほかのメンバーも、ヴィニー・カリウタなどテクニシャン揃いだし。ジャケットも60年代サイケデリック・ロックみたいだし……。

 が、実際に聴いてみたら、思ったよりもずっとロック色は薄く、わりと普通のジャズだった。これは、私にとっては期待はずれ。

 マクラフリンのハードなジャズ・ロック・アルバム『インダストリアル・ゼン』『フローティング・ポイント』のナンバーを計3曲演奏していて(「ニュー・ブルース、オールド・ブルース」「セニョールC.S.」「ラジュ」)、この3曲はすごくいい。また、マイルス・デイヴィスの「イン・ア・サイレント・ウェイ」も、凛としたストイックな美しさがあって、なかなかよい。

 が、ほかの曲はどれもかったるい。
 コリアが書き下ろした新曲「アンドロメダへの讃歌」など、大仰で長たらしいだけで、退屈で眠くなる。
 それに、アンコールの「いつか王子様が」なんて、まったく余分である。こんな、ホテルのラウンジで流れるような人畜無害のジャズを、誰もこのバンドに期待していないと思う。

 せっかくコリアとマクラフリンが夢の共演を果たしたのだから、普通のジャズなんかやらなくてよかったのに。もっと「この2人でなければできないこと」を、2枚組全編にわたってやってほしかった。
 すなわち、全盛期RTFとマハヴィシュヌのいいとこ取りのような、『浪漫の騎士』と『内に秘めた炎』を足して二で割ったような、誰にも真似の出来ない、超テクニカルで、それでいて流麗で精神性の高い、至高のジャズ・ロック――それを期待したんだけどなあ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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