小林まこと『青春少年マガジン1978~1983』


青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス)青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス)
(2008/12/17)
小林 まこと

商品詳細を見る


 小林まことの『青春少年マガジン1978~1983』(講談社KCデラックス/980円)を読んだ。一昨年に刊行され、ずいぶん話題になった作品。

 『週刊少年マガジン』の創刊50周年を記念して、同誌で活躍してきた人気マンガ家たちがデビュー当時の思い出などを描いた競作シリーズの一作らしい。
 小林が本作でおもに描いたのは、代表作である『1・2の三四郎』を連載していた時期の思い出。タイトルの「1978~1983」とは同作の連載期間だが、84年以降の出来事も少し描かれている。

 当時の『少年マガジン』をリアルタイムで読んでいた人ならいっそう味わい深いマンガだが、そうでなければ感動できないわけではない。ここに描かれた青春は普遍的なものだから。

 デビューの歓喜、初めての連載で味わう「産みの苦しみ」など、小林の駆け出し時代の悲喜こもごもが、作品のタテ軸となる。
 そしてヨコ軸は、小林と同時期に『少年マガジン』でデビューし、「新人3バカトリオ」と呼ばれたという2人のマンガ家――『純のスマッシュ』『初恋物語』などで知られる小野新二と、『タフネス大地』などで知られる大和田夏希――との友情の物語である。

 小林のことだから随所に笑いが用意されているのだが、それ以上に、哀切さのほうが大きなウェイトを占める作品だ。というのも、大和田と小野はのちに相次いで早世するから(大和田は94年に自殺、小野は95年に病死)。

 デビュー間もない時期の喜怒哀楽を共有し、若手マンガ家として互いをライバル視して切磋琢磨していた3人。そのうちの2人が夭折したことで、小林はただ1人取り残されたような喪失感を味わう。その喪失感をフィルターに青春を回顧しているため、物語の底には深い哀しみが流れている。これは、2人の親友へのレクイエムでもあるのだ。

 マンガ家たちの青春物語といえば「トキワ荘伝説」がすぐに思い浮かぶが、ここに描かれた3人のマンガ家の青春も、同じくらい胸を打つ。
 最後のページに書かれた短い一文が、印象的だ。

 この漫画は、故大和田夏希、故小野新二、二人の親友に捧げます。文句があったらあの世で聞きます。また三人でケンカしましょう。(句読点は引用者補足)



 なお、個人的に印象深かったのは、幻の未完作『シロマダラ』の舞台裏が描かれていたこと。
 コミックス1巻が出たのみで中断したままのこの作品は、小林には珍しくギャグ一切抜きのシリアスなハードボイルド(もしくはノワール)で、きちんと完結させれば傑作になっていたはずだ。

関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

ブクログ・MY本棚

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
39位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
27位
アクセスランキングを見る>>