やましたひでこ『ようこそ断捨離へ』


ようこそ断捨離へ モノ・コト・ヒト、そして心の片づけ術ようこそ断捨離へ モノ・コト・ヒト、そして心の片づけ術
(2010/06/11)
やましたひでこ

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 やましたひでこ著『ようこそ断捨離へ――モノ・コト・ヒト、そして心の片づけ術』(宝島社/1000円)読了。

 著者は、ブームを呼んでいる「断捨離」の“教祖”ともいうべき人。「断捨離」も登録商標で、商業目的、営業目的の使用は著者の許可なしではできないのだそうだ。

 本書は著者のブログをまとめたもので、なんともまとまりがない。著者は昨年『新・片づけ術 断捨離』という入門的な著作を出しているので、そちらを読むべきであった。

 『新・片づけ術 断捨離』の紹介文に、著者のいう「断捨離」とはなんなのかがまとめられているので、引用する。
 

 「断捨離」(だんしゃり)とは、ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」をもとに生まれた言葉。
断=入ってくる要らないモノを断つ
捨=家にはびこるガラクタを捨てる
離=モノへの執着から離れ、ゆとりある”自在”の空間にいる私
 つまり、「家のガラクタを片づけることで、心のガラクタをも整理して、人生をご機嫌へと入れ替える方法」。
 「そうじ」をしたり、モノを捨てたりすると、なぜか心も軽くなる、というのは誰もが経験していること。「断捨離」とは、皆が漠然としている「そうじ」や「片づけ」を再定義し、自分の「内在智」(心や体を快方向に導くセンサー)を磨くための行動へと落とし込んだメソッドです。結果、自分の心をご機嫌に、ついでに運気も向上させてしまおうという方法論でもあります。義務感を伴う「片づけ」から、自分の内在智や運気を磨く「断捨離」へ。



 うーん……。
 モノへの執着を減らすことで心も軽くなる、まではわかるが、「運気も向上」とか言われると途端にうさん臭くなる。これって、新手のスピリチュアルでは……。

 と、眉にツバつけて読んでみれば、やはり随所にオカルト的色彩が感じられる。たとえば――。

 漫然と放置されたモノたちは、朽ち果てた腐敗の気を。
 漫然と保存されたモノたちは、澱んだ停滞の気を。
 間違いなく私たちを、腐敗と停滞の気で包む。私たちの運気が、腐敗運と停滞運となるのですよ、間違いなく。



 運命学の根本原理のひとつは環境が人に影響を与えるということ。その人自身に近いところに存在するものから、その人に対して強い影響が与えられる……。
(中略)
 ならば、一番身近な住まいの環境が、私たちの運命に大きな影響を、与えるのは間違いのないこと。



 本書は、モノへの執着を減らす心構えを説いた本としてはよいのだが、それを運気うんぬんに結びつけている点には辟易した。
 著者は「断捨離セミナー」なるものを頻繁に開いているそうだが、それって一種の「自己啓発セミナー」になっているのでは?

 当初は、主婦向けの片付け術セミナーであった断捨離セミナーも、最近は、若い方々が多く参加して下さるようになった。もちろん、男性も増えた。
 20代の若い男性が、食器棚の整理の仕方や下着のたたみ方を、習いに来るわけはありませんわ、やはり。
 彼らが望んでいるのは、自分探し。自己探求としての断捨離。



 やっぱり……。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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