井形慶子『老朽マンションの奇跡』


老朽マンションの奇跡老朽マンションの奇跡
(2009/11/18)
井形 慶子

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 井形慶子著『老朽マンションの奇跡』(新潮社/1575円)読了。

 著者は、「イギリスがどうしたこうした」という本をたくさん出している人。名前だけは知っていたが、著作を読むのは初めて。イギリスうんぬんの本にはまるで興味がないし。

 本書は、著者が吉祥寺の老朽マンションを格安で手に入れ、憧れの「ロンドンフラット」風にフルリフォームするまでの悪戦苦闘を綴ったノンフィクション。ただし、そのマンションは著者の自宅ではなく、自分が経営する出版社のスタジオ兼若手社員の住居にしたとか。

 築35年、45㎡のボロボロ・メゾネットが今風デザイナーズ・マンションに生まれ変わっていく過程がつぶさに描かれ、人気テレビ番組「大改造!! 劇的ビフォーアフター」の活字版という趣だ。

 だが、それだけに終わっていない。日本の住宅政策への批判と提言もちりばめられていて、社会派っぽい広がりもある本なのだ。

 それに、リフォーム終了までに次々と立ちはだかる壁やトラブルを乗り越えていく過程は、まるでドラマを観るよう。
 これから住宅を手に入れようとしている読者にとっては実用書だが、住宅に関心のある人なら読み物としても愉しめる本なのだ。

 私のところも中古マンションを買ってリフォームした口なので、身につまされる記述が随所にあった。
 ただ、我が家の場合、購入もリフォームも業者に全部おまかせしてしまったので、自分のこだわりをとことんつらぬく著者のパワーと粘りに終始圧倒されながら読んだ。
 「中古マンションを手に入れてリフォームしました」というだけの話が本一冊分の濃密な内容になったのも、どんな面でもけっして妥協せず、細部にまでこだわりぬく著者の姿勢があったればこそだ。私にはとてもここまでこだわれない。

 それにしても、老朽化していたとはいえ、「住みたい街ナンバーワン」の吉祥寺のマンションが500万円だったとはスゴイ。
 フルリフォーム費用も200万に値切り、計700万円で仕上がった「ロンドンフラット」風住居(カラーの口絵で詳細に紹介されている)は、完成直後に不動産屋から「これなら月額13万円ですぐに借り手がつく」とお墨付きをもらったとか。

 同じように「格安中古マンションを手に入れてリフォームを」と考えている人なら、一読の価値はある本。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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