レオ・バボータ『減らす技術』


減らす技術 The Power of LESS減らす技術 The Power of LESS
(2009/08/05)
レオ・バボータ

商品詳細を見る


 レオ・バボータ著、有枝春訳『減らす技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/1575円)読了。

 タイトルは10年前のミリオンセラー『「捨てる!」技術』の二番煎じのような印象だが、そうではない。本書にも「モノを減らす技術」についての言及はあるものの、それはほんの一部で、扱うテーマはもっと幅広い。
 これは、さまざまな人生のムダを減らし、真に価値ある事柄に力を集中して生きるコツが説かれた自己啓発書なのだ。
 ただし、自己啓発書にありがちなクッサイ精神論に陥っておらず、飄々として力の脱けた感じが好ましい。

 著者は米国のカリスマブロガーで、本書も著者のブログをベースにしたものだそうだ。

 なにしろテーマが『減らす技術』だから、著者の説く「価値ある人生を生きるコツ」はシンプル極まりない。
 たとえば著者は、“タスク管理に頭を悩ませるくらいなら、タスクを思い切って減らしてしまえ。そうすれば、タスク管理などそもそも必要なくなる”と言う。このへんの逆転の発想は、なかなか新鮮。

 思えば、従来の自己啓発書には「もっと増やせ!」というベクトルをもつものが多かった。「人脈を広げよ!」「年収ウン倍を目指せ!」「スケジュールをぎっしり詰め込め!」「読書量を増やせ!」「1日の仕事量をもっと増やせ!」などなど……。「増やせ、されば汝は幸せにならん」というふうに。

 対照的に、著者は日々の暮らしや計画・目標から、ムダな部分、些末な部分を削ぎ落とし、リソースを本質部分に集中することで生産性を高め、人生を充実させようとする。ベクトルが逆なのだ。

 最近話題の「断捨離」というのも、本書の主張に通底するものだろう。時代は「増やせ」から「減らせ」へとシフトしつつあるのだ。

 私はもともと、人生も生活もできるだけシンプルでありたいという志向性が強い。昔からモノに対する執着は薄かったが、40代半ばを過ぎてからその傾向がいっそう強まり、最近はモノを捨てることにほとんどためらいを感じなくなってきた。捨ててスッキリすることには得難い快楽がある。
 そんなわけで、「もっと増やせ!」系の自己啓発書より、本書や「断捨離」の主張のほうが私にはしっくりくる。

 本書が掲げる「6つの原則」は、「制限する」「本質に迫ることだけを選ぶ」「シンプルにする」「集中する」「習慣化する」「小さくはじめる」――。
 それらの原則に沿って、デスクの整理整頓からメール管理、目標設定、体調管理に至るまで、生活のムダを削ぎ落とすコツを、著者は微に入り細を穿ってていねいに説いていく。

 どっかで見たような凡庸なアドバイスもないではないが、全体としてはよくできた自己啓発書だ。
 とくに、終章にずらりと列挙された「モチベーションを保つコツ」は有益で、今後何度も(モチベーションが下がってきたときに)読み返したい。


↑「レス・イズ・モア」(「より少ないことは、より豊かなことだ」の意)なんて言葉もある。これはルパート・ホームズ初期の名曲「レス・イズ・モア」。

関連記事

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

ブクログ・MY本棚

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
43位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
30位
アクセスランキングを見る>>