中川淳一郎『ウェブを炎上させるイタい人たち』

ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」 (宝島社新書 307)ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」 (宝島社新書 307)
(2010/02/10)
中川 淳一郎

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 中川淳一郎著『ウェブを炎上させるイタい人たち――面妖なネット原理主義者の「いなし方」』 (宝島社新書/700円)読了。

 『ウェブはバカと暇人のもの』『今ウェブは退化中ですが、何か?』の著者が、世にあふれるネット礼賛に冷水をぶっかけるシリーズ(なのか?)第3弾。

 著者が言っていることは、基本的に前2著と同じである。
 前2著との違いは、ネット上で「炎上」に遭った場合の対処法、さらには炎上を防ぐ心構えについて、一章を割いて綴られていること。ニュースサイト編集者としての経験をふまえたアドバイスだから、企業の広報担当者などにとっては有益だろう。

 ツイッター・ブームについては、前著以上に気合いを入れておちょくっている。
 たとえば、一連のツイッター礼賛本をすべて読んだという著者は、それらに対する感想として次のように言う。

「意味のない発言しかできないバカに『自己表現』の名の下にゴミカス情報を撒き散らかすことを推奨するようなことを言わないでくれよ」「あなた達は書くべきことがたくさんあるかもしれないけど、書くことも特にない凡庸な人に余計な夢を与えないでくれよ。彼らを焦らせないでくれよ」



 「ツイッター否定派」(笑)の私は、著者の主張に全面的に賛同。
 
 それと、本書の主張の中で特筆すべきは、「ネットの普及とともに日本人の生産性が低下している」という指摘。
 日本人の一人当たりGDPは、2001年までトップ5入りしていたが、そこから急激に低下し、2008年には23位にまでランクダウンした。著者はその要因の一つを、ネットの急激な普及に求めている。

 注目したいのがブロードバンドが普及し、ネットユーザーが爆発的に増え始めた01年と、ブログが普及し、誰でも簡単に情報発信ができるようになった04年である。01年の翌年である02年にGDPは8位に落ち、ブログが爆発的に普及した04年に前年の9位から14位に落ち、以後惨憺たる状況になっている。



 “ネットとテレビは、ともに安価なひまつぶしツールである。にもかかわらず、ネットの先進的なイメージのため、人はネットでのひまつぶしに対し、テレビほどうしろめたさを感じない”
 ――というのは、著者が前著で言っていたこと。最強のひまつぶしツールたるネットが普及すればするほど、日本人の生産性が下がるのも理の当然である。
 全体におちゃらけた内容の本書の中で、「ネットが日本人の生産性を低下させた」というこの主張はやや浮いているのだが、十分検討に値する仮説だと思う。
 ツイッターの爆発的普及は、日本のGDPをかなり押し下げたのではないか(笑)。

 ただ、同じ著者が同じテーマで書いた本を3冊つづけて読んだので、さすがにもう飽きた。
 次は3年くらい間を置き、ネット上のおバカ事件のストックがたまった時点で出したらいいと思う。

■関連エントリ
『ウェブはバカと暇人のもの』レビュー
『今ウェブは退化中ですが、何か?』レビュー

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『ウェブを炎上させるイタい人たち』読了(追記あり)

 中川淳一郎さんの、『ウェブを炎上させるイタい人たち』を読みました。 ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」 (宝島社新書 307)作者: 中川 淳一郎出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2010/02/10メディア: 新書 感想は、追記をお待ちくだ

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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