Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y) (2009/11/06) 津田 大介 商品詳細を見る |
津田大介著『Twitter社会論――新たなリアルタイム・ウェブの潮流』(新書y/777円)読了。
私自身はツイッターをやっていないし、やる気もないのに、ツイッター本2冊目である。ま、これでだいたい理解できたから、もうほかのツイッター本は読まなくてもいいか。
■関連エントリ→ ツイッターは「時間食い虫」――『Twitterの衝撃』を読んで
著者は、「ツイッターでイベント等を生中継すること」を意味するネット用語「tsudaる」の語源となったメディアジャーナリスト。ツイッター本を書くのに最適な人物といえよう。
本書はさすがに、ツイッター入門として非常によくできている。ツイッターをめぐる海外/国内のトピックをまんべんなく紹介し、さまざまな論点を手際よく盛り込んでいるのだ。
が、本書を読んでも、「私にはツイッターは必要ない」という思いは微塵も変わらなかった。
そもそも本書自体、私がツイッターの最大の難点だと感じている「中毒性」の症例報告のようだ。
タイムラインに表示されるつぶやきが増えていくと、今度はそれを追いかけることに多くの時間が割かれることとなり、当時の(今も?)筆者はツイッターのおかげで本当にまったく仕事がはかどらない状態になってしまったのだ。
自分の思考や行動をつぶやけばつぶやくほど、そのダイナミズムに身をまかせる快楽は深まっていく。ある種「麻薬」のような話だが、これだけツイッターのヘビーユーザーが増えている理由を理解するには、そうしたツイッターの持つ「中毒性」がどこから来ているのか押さえておく必要があるだろう。
もっとも、「おわりに」によれば、著者自身はのちにそういう状態を乗り越え、距離を置いてツイッターとつきあえるようになったとのことだ。
フォロー数が増えると、情報の流れも速いため、「タイムライン上の情報はすべて見なければいけない」といった強迫観念から解放される。
ホントかね? いまでもツイッターが著者の仕事の妨げになっているのではないかと、他人事ながら心配になる(笑)。
まあ、この著者の場合、いわば「ツイッターで一山当てた」わけだから、ツイッターに多大な時間を割くことにも意味があるだろう。が、なんの意味もないのにツイッターにハマって仕事を失うフリーランサーとか、今後絶対増えると思う。
巻末には著者と勝間和代の対談が載っていて、これがわりと面白い。とくに、次のような発言はツイッターの本質を衝いている(ような気が)。
勝間―ツイッターって、本来だったら空気の中に消えちゃうはずの想いや会話を文字化してアーカイブしてくれるサービスなんですよ。
津田―行き場のない言葉や思いを「供養」するメディアとも言えますね(笑)。
本書に紹介されたトピックで思わず笑ってしまったのが、「#twinomi」というハッシュタグ(意味がわからない人はググられたし)の話。
これは日本発のムーブメントで、飲酒しているときにこのハッシュタグと共に「今こんな酒を飲んでます」とつぶやくというもの。「#twinomi」を検索することで、自分と同じように飲んでいる人たちのつぶやきを一覧で見ることができる。同じ場所にいるわけではないユーザーたちが「今同じ時間に飲んでいる」ということだけで、何となくつながることができるのだ。1人で飲んでいてもツイッターを見ながら「#twinomi」タグを検索すれば寂しくないという人もいるくらいだ。
そこまでして見知らぬ他人と「つながりたい」かね? みんな、どんだけ寂しがりやなんだ(笑)。私にはその気持ちがわからない。
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