神足裕司『空気の読み方』

空気の読み方?「できるヤツ」と言わせる「取材力」講座? (小学館101新書)空気の読み方?「できるヤツ」と言わせる「取材力」講座? (小学館101新書)
(2008/10/01)
神足 裕司

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 神足(こうたり)裕司著『空気の読み方――できるヤツと言わせる「取材力」講座』(小学館101新書/756円)読了。

 誤解を招きやすいタイトルだが、中身は副題のとおり。西原理恵子との共著『恨ミシュラン』などで知られるベテラン・コラムニスト「コータリン」による、“取材力強化講座”である。

 この手の本は、実際にはライターや記者向けの内容なのに、「取材力はあらゆる職種に要求されるスキルです」と、ビジネス書の装いをまとうことが多い。
 ライター志望者だけが対象では部数が見込めないので、「ビジネスマンのスキルアップに役立つ本ですよ」と言って間口を広げようとするわけだ。

 多くの場合、それは営業サイドの要請によるもので、著者側は本気でビジネス書にしようとは思っていない。ゆえに、まえがきで「この本はビジネスにも役立つ」とほのめかすだけでお茶を濁し、本文はごく普通のライター入門になる例が多い。

 だが、本書は違う。ビジネス関係の著作も多い神足裕司だけに、本気で「ビジネスにも役立つ取材入門」にしようとして書かれているのだ。だから、本書はライターのみならず、一般のビジネスマンにとっても一読の価値がある。

 「ライターのための取材力強化講座」として読んでも、かなり質の高い内容である。それも、ライターの卵たちより、すでにライターとして一本立ちしている人が読んで参考になるアドバイスが多い。

 ライターをやっていくための大前提ともいうべき心構えから、取材現場における微に入り細を穿った実践的アドバイスまで、傾聴に値する指摘が随所にちりばめられている。しかも、それらがすべて著者の豊富な取材体験をふまえて語られるので、説得力もある。

 一例を挙げよう。取材相手の警戒心を解くためのテクニックの一つ――。

 大概の人は「自分は悪い人間ではない」と思っている。それゆえ、「自分と似ている人も、決して悪い人間ではないだろう」と予測してしまうのだ。
 だからこそ、予備取材の段階で自分と相手との共通点や類似点を見つけたら、それは有効な武器になる。
 最初の頃に、
「そう言えば○○さんは広島出身なんですね。実は私もそうなんです」
 と切り出してみよう。



 このようなテクニックの数々が、惜しげもなく披露されている、一般ビジネスマンの場合、とくに営業職なら得るところが大きい本だと思う。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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