藤井誠二『大学生からの「取材学」』

大学生からの「取材学」-他人とつながるコミュニケーション力の育て方大学生からの「取材学」-他人とつながるコミュニケーション力の育て方
(2009/07/07)
藤井 誠二

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 藤井誠二著『大学生からの「取材学」――他人とつながるコミュニケーション力の育て方』(講談社/1470円)読了。

 ベテラン・ノンフィクションライターの著者が、いつくかの大学で担当してきた「ノンフィクション論」「取材学」の授業内容をベースにしたもの。ゆえにこの書名になっているが、けっして初心者向けの内容ではなく、私のようなライターが読んでも参考になる点が多々ある。

 むしろ、「このへんは大学生には高度すぎるのでは?」と思わせる部分も少なくない。なにしろ、著者の授業にはほとんど本を読まないような学生も参加しているそうだから……。

 取材のスキルには普遍性があり、メディア業界以外の日常でも「使える」ものなのです。営業の仕事であれ、人の悩みを聴く仕事であれ、介護の仕事であれ、犯罪をした疑いのある人を取り調べる仕事であれ、さまざまな職業で「使え」ます。



 ……と著者もいうとおり、本書はライター/ライター志望者にかぎらず、「人に話を聞く仕事」に就いている人なら一読の価値があると思う。 
 宮台真司、森達也、名越康文、永江朗などをゲストに招いた特別授業の内容も収録しており、著者一人の考え方/方法論のみに偏っていないところもよい。

 著者自身の取材の舞台裏を明かしたくだりも多く、それらのエピソードが総じて興味深い。たとえば――。

 ぼく自身も取材をした相手の怒りを買うことはあります。
 犯罪被害者遺族の取材をライフワークにしていますが、あるとき、ぼくは新著のお知らせを一斉メールで送ったことがあります。その文面の末尾に「皆様のご多幸をお祈りします」と書いたところ、ある遺族から「最大の不幸を味わった人に多幸などない」と罵倒されたことがあります。ぼくは勇気を出して、すぐに遺族のもとに赴き「至りませんでした」と謝罪しました。



 取材というものの奥深い魅力を伝える一冊だ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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