香山リカさんを取材

しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)
(2009/07)
香山 リカ

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 今日は、精神科医の香山リカさんを取材。都内某所の事務所にて。 

 新著『しがみつかない生き方――「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』(幻冬舎新書/777円)をめぐる著者インタビューである。
 ほかに、やはり香山さんの近著『悪いのは私じゃない症候群』(ベスト新書)と『親子という病』(講談社現代新書)を読んで臨む。

 『しがみつかない生き方』は、おもに女性読者に向けて書かれた、香山リカ流「生き方本」。7月末に出たものだが、それから2ヶ月と経たない現時点で34万部を超えているという。すごい勢いで売れているのだ。

 タイトルは「人に頼らない生き方」という意味ではなく、マスコミ等でまきちらされる価値観(たとえば恋愛至上主義など)にしがみつかない生き方のこと。

 全体の通奏低音となるのは、「私はあの人よりも○○だ。だから幸せだ」という「人と比べる幸福」を過度に求めるのはやめましょう、という呼びかけ。その点、大いに共感する。人と比べる「相対的幸福」は、砂上の楼閣のようにもろく不安定だからである。

 最終章が、「〈勝間和代〉を目指さない」と題されている。勝間本に底流する、人の成功願望をあおり立てる主張にやんわりと異を唱えているのだ。
 そのため、各紙誌の書評・紹介記事では、きまってこの最終章がクローズアップされている。『週刊朝日』の今週号など、香山さんがあたかもアンチ・カツマーの旗頭であり勝間和代に宣戦布告したかのような(笑)3ページの記事を載せている。

 ほかの章もそれぞれ面白いので、最終章ばかりが注目されるのはよくないと思う。私が書く記事では、勝間の名は出さないことに決めた。

 個人的には、第9章「生まれた意味を問わない」がいちばん面白かった。精神科医としての経験をふまえ、「生まれた意味や目的なんて、あまりはっきりしていないほうが幸せなのだ」「替えのきく存在でいるほうがいい」と主張するラディカルな幸福論だ。
 これをニヒリズムととらえるのは短見である。「私は○○をやるためにだけ生まれてきた」とか、「私にしかできない仕事が、どこかにあるはず」などという幻想ほど、人をがんじがらめにして不幸にするものはないのだ。その幻想どおりの仕事や役割に出合える人など、ごく一握りなのだから。

 「ナンバーワンよりオンリーワンを目指せ」ということが、一時期よく言われた。その場合の「オンリーワン」が「替えのきかない存在」を意味するとしたら、本書は“ナンバーワンでなくてもいいし、オンリーワンでなくてもいい。他人と比べる幸せではなく、自分自身にとっての幸せを見つけましょう”という本だ。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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