2009年08月10日 13:54
![]() | TOKYO SPECIAL(紙ジャケット仕様) (2007/08/22) 笠井紀美子 商品詳細を見る |
笠井紀美子の『TOKYO SPECIAL』紙ジャケ盤を購入。1977年発表作を、2007年に復刻リリースしたものだ。
笠井は日本の女性ジャズ・ヴォーカリストの草分けの1人だが、このアルバムはジャズというより「ジャズ寄りのAOR」という趣。ジャズのスタンダードは一曲もなく、収録曲はすべて本作のためのオリジナルで、歌詞はすべて日本語だ。彼女のキャリアの中でも異彩を放つ一枚なのだろう。
■収録曲目
01. バイブレイション
02. やりかけの人生
03. 夏の初めのイメージ
04. ベリー・スペシャル・モーメント
05. 人はそれぞれ・・・
06. TOKYO SPECIAL
07. 木もれ陽
08. テイク・ミー
09. 待ってて
作詞は全曲とも故・安井かずみ。作曲陣には山下達郎、矢野顕子、筒美京平、横倉裕など錚々たる面々が並んでいる。編曲は故・鈴木宏昌で、演奏も鈴木率いる「コルゲン・バンド」(のちの「ザ・プレイヤーズ」)によるもの。
1977年といえば、私はまだ中学生。そろそろ意識的に音楽を聴き始めたころである。このアルバムの一曲目「バイブレイション」は、ラジオでよくかかっていたのを覚えているが、当時の私には「ヘンな曲」としか思えなかった。
しかし、30年以上を経たいま、YouTubeでふと検索して聴いてみたら、じつにカッコイイ曲ではないか。これって山下達郎作曲だったのかあ。
しかも、達郎の曲「ラブ・セレブレイション」は、この「バイブレイション」のセルフ・カヴァーだというではないか。「ラブ・セレブレイション」は達郎の78年作『ゴー・アヘッド!』の冒頭を飾った曲で、私も大好きな曲だ。が、歌詞もアレンジもまるで違うし、あの曲が「バイブレイション」と同じ曲だとは、これまでまるで気づかなかった。
いまの耳で聴いてみれば、「バイブレイション」はもろに初期の達郎サウンドである。私は、山下達郎はメジャー・ブレイク以前の初期ソロ・アルバム(『サーカス・タウン』『SPACY』とか)のほうが好きだ。まさに「あのころの達郎」そのままの曲。
↑「バイブレイション」
……というわけで、「バイブレイション」のカッコよさにKOされて、このアルバムを注文したしだい。
現在ヘビロ中なのだが、「バイブレイション」以外にもいい曲がいっぱい。AORといっても甘ったるさはまったくない。ジャズ、ソウル、フュージョンの要素をそれぞれちりばめた、クールでビターな大人のAORである。
このアルバムと比較すべきは女性ジャズ・ヴォーカリストの諸作ではなく、アルファレコード時代の吉田美奈子あたりだろう。
鈴木宏昌のアレンジがまことに素晴らしい。
たとえば、M3「夏の初めのイメージ」は筒美京平作曲で、俗なアレンジを施したらただの歌謡曲になってしまうところ。それが、鈴木の洗練されたアレンジによって、「東京湾岸ボッサ」という趣の涼やかで上品な佳曲に仕上がっている。
↑「夏の初めのイメージ」
いうまでもなく、ヴォーカルもよい。すごくうまいのにさりげない、うまさをひけらかさないコケティッシュなヴォーカル。
なお、笠井紀美子はのちにミニー・リパートンの元夫(音楽プロデューサー)と結婚し、音楽界を引退。いまは米国でジュエリー・デザイナーをしているらしい(!)。
こんなにいいアルバムだとは思わなかった。1970年代後半の日本の音楽シーンは、じつに宝の山だなあ。


イラスト/ジョージマ・ヒトシ












コメント
デイジー | URL | dmKOvw4Y
おじゃまします
初めまして
笠井貴美子で捜し物をしていたらこちらに立ち寄ってしまいました。
内容・お気に入り100曲・音質・素敵ですね。
また覗かせていただきます。
( 2009年08月28日 11:24 [Edit] )
前原 | URL | -
Re: おじゃまします
デイジーさん
はじめまして。
貴ブログも拝見。
設計のお仕事をなさっているのですね。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
> 初めまして
>
> 笠井貴美子で捜し物をしていたらこちらに立ち寄ってしまいました。
> 内容・お気に入り100曲・音質・素敵ですね。
> また覗かせていただきます。
( 2009年08月28日 12:55 )
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