細川貂々『ツレがうつになりまして。』

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)
(2009/04)
細川 貂々

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 細川貂々(てんてん)著『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎文庫/480円)読了。
 「読了」といっても、エッセイ・コミック(文章によるコラムがときどき入る)だからあっという間に読み終わった。

 言わずと知れた大ベストセラー(30万部突破)だが、NHKでテレビドラマ化されたと聞いて、なんとなく手を伸ばしてみたしだい。

 本書を読んで初めて気づいたのだが、私はすごい勘違いをしていた。著者とワタナベ・コウ(イラストレーター)を混同していたのだ。
 ワタナベ・コウの「ツレ」といえば、元『SPA!』編集長のツルシカズヒコ(師一彦)。小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』が『SPA!』で連載されていたころ、ツルシとトラブって連載中止に至ったことで知られる。連載最終回の『ゴー宣』には、ツルシが悪意ある描かれ方で登場していたっけ。

「あのツルシがうつになったのか。やっぱり、小林よしのりとの闘いに疲れたことが発病の引き金になったのかなあ」と勝手に納得していたのである。
 いやー、思いこみはこわい。  

 それはさておき、本書はうつ病についての啓蒙書としてたいへんよくできている。うつ病になったときの独特の感じ方・考え方が的確に表現されていて、家族や友人・知人がうつ病になったとき、どう接すればよいのかがよくわかる。
 「なるほど。うつ病になった人はそんなふうに考えてしまうのか」と、目からウロコのシーン多数。質の高い「学習マンガ」でもあると思う。

 ありそうでなかった、軽やかなエッセイ・コミック形式の「うつ病入門」。企画の勝利だと思う。

 北杜夫が自らの躁うつ病体験をしばしばエッセイ等で明かしてきたことについて、「日本に躁うつ病理解の土壌を作ったという意味で、大きな社会貢献」と評する向きがある。
 それにならえば、この『ツレうつ』シリーズ(続編、スピンオフ本もある)がベストセラーになり、テレビドラマ化もされたことは、日本人のうつ病理解の裾野を広げたという意味で社会的意義も大きいと思う。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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