山田あかねほか『オトナの片思い』

2008年12月16日 01:53

オトナの片思いオトナの片思い
(2007/08)
石田 衣良栗田 有起

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 『オトナの片思い』(角川春樹事務所/1575円)読了。
 人気作家11人が、「オトナの片想い」を通しテーマに据えて短編小説を競作したアンソロジー。

 山田あかねの「やさしい背中」が読みたくて手に入れたのだが、生来のケチのためほかの作品も全部読んでしまった。

 ほかに登場するのは、石田衣良、栗田有起、伊藤たかみ、三崎亜記、大島真寿美、大崎知仁、橋本紡、井上荒野、佐藤正午、角田光代といった面々。

 『料理通信』という雑誌に連載されたものなので、料理や食べ物に関するエピソードがたくさん登場する。「大人・片思い・おいしいもの」の三題噺のようでもある。

 直木賞作家や芥川賞作家も参加するなか、我らが山田あかねはほかの作品と比べまったく遜色ない短編を寄せている。遜色ないどころか、収録された11編のうち、私は「やさしい背中」が2番目に気に入った。

 いちばんよかったのは、佐藤正午の「真心」。これは傑作。短いながらも、誰にも真似できない佐藤正午ならではの世界が展開されている。

 あとは、角田光代の「わか葉の恋」と、大崎知仁の「ゆっくりさよなら」が同率3位というところ。
 角田のものは、他愛ない話ながらも文章の力で読ませる。大崎知仁の作品は会話がいきいきとして素晴らしい。

 
 伊藤たかみのものは地味ながらも佳編。栗田有起、大島真寿美、橋本紡のものは取り柄のない凡作。三崎亜記のものは唯一のファンタジーだが、アイデアが空回り。井上荒野のものはディテールはよいが構成に難ありで、起伏に乏しく印象が薄い。

 トップを飾る石田衣良の短編「フィンガーボウル」は、手慣れたうまさはあるものの、気障ったらしい文章で飾られているだけで内容空疎。「ヘソが茶ぁ沸かすわ!」という感じの「都会派恋愛小説」。
 たとえば、こんな一節がある。

 

 ワインは人生と同じだと千鶴子は思った。人生の味わいは実際に生きてみなければわからないのだ。



 このように、一見何か深いことを表現しているようでいてじつはクダラナイ、気取った文章がずらりと並ぶ。やっぱり私はこの人の作品が好きになれない。




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