佐藤尚之『明日の広告』

2008年11月12日 22:07

明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045) (アスキー新書 45)明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045) (アスキー新書 45)
(2008/01/10)
佐藤 尚之

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 佐藤尚之著『明日の広告/変化した消費者とコミュニケーションする方法』 (アスキー新書/780円)読了。

 著者は電通のクリエイティブ・ディレクターだが、私には「www.さとなお.com」の「さとなお」さんとしてのほうがなじみ深い。

 「www.さとなお.com」は日本の個人サイトの草分け(1995年開設)で、私も自分がネットを始めてすぐのころから巡回サイトに加えている。ほぼ毎日更新される同サイトを通じて、かれこれ10年近くもさとなおさんの生活の一端に触れているのである。ゆえに、一面識もないのに昔からの知り合いのような気がする。

 だいたい私は広告業界にあまり興味がないから、さとなおさんの著書でなければ手に取ることもなかっただろう。
 だが、読んでみたらたいへん面白い本だった。「広告のいまとこれから」を、私のようなド素人にもわかりやすく、手際よく概説してくれる良質な入門書である。

 著者は、ネット時代到来からのこの10年間で、広告の置かれた環境は激変したという。

 「広告は消費者へのラブレター」と昔から言われるが、喩えるなら昔の広告はモテモテ男で、ラブレターさえ出せば相手(消費者)はすぐなびいてくれた。
 しかし、いまやすっかりモテなくなって、相手はラブレターを受け取ってさえくれない。たまに受け取っても、そこに書かれた口説き文句をなかなか本気にしてくれない。だからこそ、時代の激変に合わせてラブレターの中身も口説き方も変えなければならない。

 ……というふうに、本書では一貫してラブレターの比喩が使われていて、わかりやすい。それでいて内容は最先端で、「広告のいま」を知るための用語やトピックが、ひととおり理解できるように作られている。

 主要読者として想定されているのは、広告業界に入りたての若者とか、仕事上広告とかかわってはいるが業界の最先端がよくわからなくなっている人たち、なのだろう。
 しかし、まるで門外漢で、むしろ広告業界に対してよい印象を抱いていない私(=1980年代の広告文化全盛期に、おいしい広告仕事とは無縁の駆け出しライターだったことからくるルサンチマンの集積による)にとっても、面白くてためになる本だった。

 随所にちりばめられた、最先端の広告事例を読むだけでも愉しい。

 たとえば、バスの屋根に「飛び降りるな!」というコピーを大書した、人材派遣会社の広告があったのだという。
 その例のように、「いままでメディアと思われていなかったものを、アイデアによってメディアにしてしまうことをメディア・クリエイションと呼ぶ」のだそうだ。なるほどなるほど。

 


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