『ストロベリーショートケイクス』

ストロベリーショートケイクスストロベリーショートケイクス
(2007/04/25)
池脇千鶴中越典子

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 ケーブルテレビで録っておいた『ストロベリーショートケイクス』を観た。2006年の邦画。監督は矢崎仁司という人。

 公式サイト→ http://www.strawberryshortcakes.net/index02.shtml

 魚喃(なななん)キリコの同名マンガの映画化。4人の若い女性たちの愛と友情の物語である。
 4人の内訳は、デリヘルの電話番・里子(池脇千鶴)、そのデリヘルで働いている秋代(中村優子)、イラストレーターの塔子(岩瀬塔子)と、そのルームメイトで結婚願望の強いOL・ちひろ(中越典子)――。

 塔子役の「岩瀬塔子」とは、じつは原作者の魚喃キリコである。
 よくある、「原作者がワンシーンだけお遊びで出演」というものではなく、堂々と女優している。それも、便器を抱え込むようにして過食嘔吐するシーンがあったり、胸まであらわにするシーンがあったり(!)して、体当たりの熱演。「ううむ、原作者がここまでやるか」と驚かされる。
 魚喃キリコはもともとキリッとした目が印象的な美人でスタイルもいいから、女優たちの間に入ってもとくに浮いた感じはない。彼女のファンならそれだけでも必見というところだろう。

 それはいいのだが、映画としてはいま一つの出来である。

 何より、全体にリアリティが希薄すぎる。
 映画の冒頭、池脇千鶴が繁華街の道路の真ん中で彼氏の足にすがりつき、「お願いだから捨てないでー!」とか叫びながら引きずられる。このベタな失恋描写だけで、「こんな女いねえよ!」とウンザリ。

 だいたい、池脇千鶴みたいな子がデリヘルの電話番などしているはずがないし、秋代が自分の住む部屋に棺桶を持ち込んでそこで寝ているという設定にも興醒め(いずれも、原作にはない設定)。
 そんな女いねえよ! てゆーか、「棺桶で寝るひとり暮らしの若い女性」などという奇矯な設定によって、何がしかの個性が表現できると考えている作り手の意識がイタい。
 
 リアリティの乏しさはともかく、魚喃キリコ作品の「空気感」はうまく移植できていると思う。
 あの手のオシャレ系コミックは、捨てゴマ(ストーリー進行に直接関係ない、雰囲気のためのコマ)が多く、ストーリーよりはムードを味わう作品という側面が強い。
 同様にこの映画も、ストーリー上はなくてもいい“雰囲気シーン”がたくさんあって、むしろそういうシーンにこそ、いまどきの若い女性の生活や意識を映し出すリアリティが感じられる。映像も美しいし、絵作りも凝っている。

 もっとも私は、観終わったあとで「それで?」とつぶやきたくなったけど……。


 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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