スガシカオ『FUNKAHOLiC』

FUNKAHOLiC(初回生産限定盤)(DVD付)FUNKAHOLiC(初回生産限定盤)(DVD付)
(2008/09/10)
スガシカオ

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 スガシカオのニューアルバム『FUNKAHOLiC』(BMG)を、サンプル盤を送ってもらって聴く。9月10日発売予定。

 村上春樹は音楽エッセイ集『意味がなければスイングはない』(2005年)の中で、スガシカオについて一章を割いている。同書の中で、J-POPのアーティストとして取り上げられたのはスガシカオのみである。
 その中で村上は、スガシカオの作る歌詞に高い評価を与え、「右の耳から左の耳に抜けていくような、ただ収まりのいい歌詞のための歌詞ではない」と評している。

 村上春樹がホメたからというわけではないが、この新作を聴いて、歌詞の質の高さ、面白さに舌を巻いた(まだ発売まで日があるため、媒体資料に載った歌詞には「最終版ではございません」と注記があるので、引用は控える)。
 手垢のついた表現をことごとく回避した、独創性あふれる歌詞。きれいごとではない男のホンネまでがリアルに表現されているのだが、それでいて過度の生活感や湿っぽさはなく、ノリのよさとクールネスに満ちている。

 サウンド面では、『FUNKAHOLiC』(ファンカホリック=ファンク中毒)というタイトルのとおり、これまで以上にファンクからの影響が色濃くあらわれている。ギラギラのホーン・セクションが心地よいオープニング・ナンバー「バナナの国の黄色い戦争」など、思いっきりファンクである。
 とはいえ、その濃厚なファンク色が、一般のJ-POPリスナーにも違和感なく受け入れられるポップなわかりやすさの中に昇華されているあたりは、さすがスガシカオ。

 このアルバムのサウンドを代表しているのが、先行シングルにもなった「コノユビトマレ」。この曲には、ファンクとJ-POPそれぞれの要素が理想のバランスで共存している。分厚くうねるベースラインと鋭角的なリズム・ギターに象徴される典型的ファンク・サウンドに、スガシカオならではのポップなメロディーが無理なく乗っているのだ。

 もちろん、スガシカオの大きな魅力であるスモーキーな歌声も健在だ。 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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