『不良読本VoL.1』

不良読本 Vol.1 (1)不良読本 Vol.1 (1)
(2008/03)
矢作 俊彦浅田 次郎

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 『不良読本VoL.1』(講談社/1260円)読了。

 『小説現代』の別冊として編まれた、「不良」をテーマに据えたムックである。先日読んだ矢作俊彦の『傷だらけの天使/魔都に天使のハンマーを』は、このムックが初出だったのだ。
 内容は、小説とエッセイが各数編、それに、安西水丸によるマンガが一編。

 「玉石混淆」という言葉がぴたりとあてはまるムックだ。
 「玉」にあたるのは、小説では『傷だらけの天使』(これは先に単行本で読んでしまったが)と、東郷隆が江戸時代の「不良」を描いた短編「背中の助六」 。エッセイでは、浅田次郎と花村萬月のものがよかった。あと、安西水丸のマンガもなかなか。

 とくに、花村萬月のエッセイはサイコーである。
 このムック全体が「オレも昔はヤンチャやっててさあ」的な、「オジサンのロマンティシズムとしての不良」を扱っているのだが、花村は執筆陣のなかでただ一人、そこに冷水をぶっかけてみせる。“不良の世界にロマンなんかない。もっと荒涼・殺伐としている”と……。

 世間一般の方が長閑(のどか)に思い描くある種のヒーローとしての不良といった存在など私にとっては噴飯もので、チープで過剰な自尊心をもてあます鬱陶しい小物か、人の感情をもたぬ独特の超越的存在が脳裏に泛(うか)ぶばかりだ。



 このエッセイを読むと逆に、花村こそ本物の不良だったのだろうな、という印象を抱く。

 エッセイは「私の不良論」を共通テーマにしていて、ほかには椎名誠、石田衣良、山本一力が寄稿している。
 「VoL.1」と銘打つからには第2弾も考えているのかもしれないが、私は買わないと思う。『傷だらけの天使』の単行本をすでに読んだ人は、とくに読む必要のないムックである。
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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