『きみの友だち』

きみの友だちきみの友だち
(2005/10/20)
重松 清

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 昨日は、渋谷のショウゲート試写室で『きみの友だち』の試写を観た。7月公開の邦画。重松清の同名小説の映画化である。

 公式サイト→ http://www.cinemacafe.net/official/kimi-tomo/

 すぐそばの席に俳優の浅野忠信が座って、ビックリ。通常、芸能人は一般マスコミ向けの小さな試写にはあまりこないものだから。
 浅野忠信は、近くにいた知り合いに腰を深く折ってていねいにあいさつしていて、好印象。意外に腰の低い人なのだな。

 映画は、タイトルが示すとおり、友情をテーマに据えた青春群像劇である。

 少女たち、少年たちの友情をめぐるいくつかのドラマがつめこまれている。中心となるのは、2人の少女の友情物語だ。
 そのうちの一人・恵美(石橋杏奈)は、小学生時代の交通事故のせいで足が不自由。もう一人の由香(北浦愛)は難病を抱えており、少しずつ死に近づいていく。互いの孤独に共鳴し合うように2人は友達になり、由香が世を去るまでの5年間で強い友情の絆を育んでいく。

 自分の命が短いことを悟っていた由香が、恵美にポツリと言う言葉が哀切だ。

「ずっと一緒にいていい? あたし、途中でいなくなっちゃうかもしれないけど。思い出たくさん残って、死んじゃうといやかもしれないけど」



 映画は、フリースクールのスタッフとして働く恵美のいまと、彼女が回想する少女時代を交互に描いていく。恵美は、由香と結んだ友情の記憶を胸に抱いて懸命に生きていくのだ。

 観る者に、「友情とは何か?」を静かに問いかける物語。
 広く浅い友達づきあいより、たった一人の親友との深い友情のほうが、生きるための糧となる。その友を喪ったときの悲しみは大きくとも、結んだ友情の記憶が生涯の宝となる。そんな真の友情のかけがえのなさを、詩情豊かに、切々と謳いあげた映画だ。

 是枝裕和の作風を意識したような、ドキュメンタリー・タッチの演出が散見される。『誰も知らない』が好きな人ならビビッとくるようなシーンもいくつか。由香を演じるのが、『誰も知らない』の長女役で脚光を浴びた北浦愛(「あい」ではなく「あゆ」と読ませるのだと初めて知った)であるのは、偶然ではないだろう。

 もっとも、この映画の監督はベテラン・廣木隆一なので、年少の是枝からの影響が感じられると評されたら不快かもしれないが。

 素晴らしいシーンがたくさんある映画だ。
 ただ、全体のまとまりはいま一つ。私は原作を読んでいないのだが、原作は連作短編形式なのかな。群像劇というより、短編映画を寄せ集めたような印象。人物相互の関係が有機的に結びついていくような「群像劇のダイナミズム」に乏しいのだ。
 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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