薄幸顔萌え

木村多江 写真集 「余白、その色。」木村多江 写真集 「余白、その色。」
(2004/01/24)
小池 伸一郎

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 妹萌え、メガネっ娘萌え、ツンデレ萌えなど、さまざまな「萌え属性」が世にはあるけれど、私の萌え属性を一つだけ選ぶとしたら、それは「薄幸顔萌え」である。「幸薄そうな女性」が好みなのだ。

 もちろん「薄幸なブス」ではダメで(笑)、「美人なのに、チャーミングなのに幸薄そう」というのがツボである。

 「薄幸顔萌え」でググってみたらけっこうな数のサイトがヒットしたので、これは「萌え属性」としてはわりとポピュラーなものであるらしい。

 ただ、その手のサイトで「薄幸顔」の例として挙げられていたのがグウィネス・パルトロウやウィノナ・ライダーだったので、ちょっと違和感。
 違うだろ。ハリウッド女優で薄幸顔といったら、なんといっても少し前までのスカーレット・ヨハンソンだろう(いまの彼女はセクシーになりすぎてしまった)。あるいはキルスティン・ダンストとか……。

 日本の女優でいったら、南果歩、夏川結衣、麻生久美子あたり。
 この間『Wの悲劇』をケーブルテレビで再見したのだが、薬師丸ひろ子もある意味薄幸顔だなあ、と思った。私は少年時代から彼女のファンだったのだが、当時から「薄幸顔萌え」傾向があったのだな。

 宮崎あおいも、『害虫』あたりまでは「薄幸顔美少女」でじつによかったのだが、最近は幸せそうになりすぎて私の守備範囲から外れてしまった。

 で、いま私が注目している薄幸顔美人は、木村多江である。木村多江ほど薄幸そうな美人は、近頃ほかにいない。
 そもそも、名前からして幸薄そうだ。いまどき「タエ」である(全国の「タエ」さんすいません)。女優らしい華やかさとか、都会的なイメージとはおよそ無縁の名前。
 私にとって「タエ」といえば、村野守美の名作マンガ『オサムとタエ』のタエだ。あのタエがそうであったように、純朴な村娘を思わせる名前だ。そこがよい。

 ウィキペディアの木村多江の項目を見たら、以下のような一節があった。

 

 顔や目つきに影があることから「日本一不幸が板に付く女優」と称されている。杉田かおるが「多江ちゃんの不幸そうな顔がスタッフには好評なんですよね」と発言した。



 ううむ。みんなそう感じていたのだな。
 ただ、薄幸顔マニアとして言わせてもらえば(笑)、「不幸そうな顔」と「薄幸顔」は似て非なるものである。
 「不幸そうな顔」では、ただたんに不幸に打ちひしがれているみたいではないか。「薄幸顔」はそうではない。「どんなに幸薄い人生でも、一生懸命前向きに、つつましく生きています」という「けなげ感」がないと、私の好む薄幸顔ではないのだ。

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コメント

デヘヘラーさん

>そんなに様々な「属性」があるなんて知りませんでした。

ウィキペディアにはずばり「萌え属性」というカテゴリーがあります。読んでいると頭がクラクラしてきます(笑)。

http://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E8%90%8C%E3%81%88%E5%B1%9E%E6%80%A7

「ぐるりのこと」、私も是非観たい作品の一つです。
  • 2008-04-15│10:10 |
  • 前原 URL│
  • [edit]
薄幸顔
このエントリー、とても面白かったです。
そんなに様々な「属性」があるなんて知りませんでした。

マイベスト木村多江といえば、「花とアリス」のバレエ講師です。ぜひ御覧あれ。

それと今夏公開予定の橋口亮輔の「ぐるりのこと」にも期待大です。
  • 2008-04-15│00:40 |
  • デヘ URL│
  • [edit]
吉祥寺さん

私は、「救命病棟24時」のナース役で木村多江に惚れました。あれほどナース役が似合う女優もほかにいないのではないでしょうか。あと和服も似合いますね。

ヘンに自信満々なタカビー女より、彼女のような薄幸顔美人のほうが「守ってあげたい」と思わせるから、けっきょくレベル高い男と結婚できるわけですね。

そうそう、私、木村多江と誕生日が同じなんですよね(3月16日)。どーでもいい自慢ですが(笑)。

>薄幸顔って、たとえば、多岐川裕美とかそうですかね。

うーん、多岐川裕美はほっぺたの肉付きがよすぎですね。
もっと折れそうに細くないと(笑)。

>実際の名前が「幸子」という女の人は、薄幸な割合が高いような気がします。

80年代芸能界を代表する「薄幸顔」である鈴木早智子(元ウインク)も「サチコ」ですね。字、ちがうけど。
  • 2008-04-13│13:50 |
  • 前原 URL│
  • [edit]
こんにちは。
木村多江、いいですよね!!
思いがけぬところで、こんな同士が。
「白い巨塔」でも薄幸ないい役でした。いちばん印象的なゲスト出演者ではなかったでしょうか。あのエピソードは原作にないので、まさに木村多江という女優をうまくあてはめるための役とも言えます。
妊娠出産のため、一時芸能界から距離を置くというのがまた、なんとゆーか残念。相手が芸能人でもスポーツ選手でもなく、電通マンというのが憎たらしい。
渡辺たすくがパーソナリティを務める「テレビ番組の話ばっかりしているラジオ番組」が最近まであったんですが、その中で、「ベスト脇役賞」を受賞したのが木村さん。

薄幸顔って、たとえば、多岐川裕美とかそうですかね。
目つきの「憂い」が薄幸の源泉でしょうか?
関係ないけど、実際の名前が「幸子」という女の人は、薄幸な割合が高いような気がします。サチコという名は皮肉だと。
  • 2008-04-13│12:58 |
  • 吉祥寺拓也 URL│
  • [edit]

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。56歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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