深町秋生『果てしなき渇き』


果てしなき渇き (宝島社文庫)果てしなき渇き (宝島社文庫)
(2007/06)
深町 秋生

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 深町秋生著『果てしなき渇き』(宝島社文庫)読了。『このミステリーがすごい!』大賞第3回受賞作だ。
 風邪を引いてちょっと熱がある。仕事にならないので仕方なく、布団の中でボーッとしながらこれを読んだ。

 元刑事の主人公の元に、離婚した妻から電話がかかってくる。失踪した娘を探してほしい、警察には届けられない事情がある、と。
 ……そんな発端は典型的ハードボイルド・ミステリのそれだが、その後につづくストーリーは馳星周も真っ青の極めつけノワール(暗黒小説)という趣。

 高校の優等生だったはずの娘・藤島加奈子の部屋からは、覚醒剤が見つかる。娘の行方を追って周辺を調査するにつれ、主人公が知らなかった彼女の暗黒面が浮かび上がる。主人公もしだいに精神の平衡を失っていくなか、やがて驚愕の真実が……。という感じの物語。

 デビュー作とは思えないほど文章がこなれている。読みやすく、力の抜きかげんも心得ていて、ベテラン作家でもなかなかこうは書けない。
 また、技巧的な構成もバッチリ決まっている。主人公の追跡行と、加奈子に思いを寄せていた少年のモノローグによるもう一つの物語を並行させ、最後にピタリと合流させるのだ。

 荒涼たる砂漠のように救いのない物語なのだが、その荒涼さかげんが妙に魅力的で、最後まで読まずにはいられない。
 しかし、読み終えるとどんよりといや~な感じが胸に残る。グロテスクでリアルな暴力描写や性描写が多いし、主要登場人物はみんな歪んでいて、誰にも共感できない。風邪引いたときに読むんじゃなかった(笑)。
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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