『花影』

 『花影(はなかげ)』を観た。3月8日公開の邦画。監督はこれがデビュー作の河合勇人という人で、脚本は大御所・市川森一。

  公式サイト→ http://www.hana-kage.jp/

 なんとも古風なタイトルの映画だが、内容もかなり古風である。山本未來演ずるジュエリーデザイナーの在日女性と、若手韓流スター、キム・レウォン演ずる韓国人青年の恋を描く、ファンタジックなラブストーリーだ。
 釜山郊外の大きな墓園に咲く満開の桜の花が、物語の重要なアクセントになる。ゆえに、タイトルが「花影」。

 ストーリーにも演出にも先鋭的な面がまったくなく、きわめてオーソドックス。テレビドラマのようにこぢんまりとまとまった作品で、正直、映画館の大きなスクリーンで観たいとは思えない。

 前半はありきたりなメロドラマという印象で、退屈。
 ヒロインは自らの名を冠したジュエリー・ブランドをもち、銀座の一等地に店舗を構えるほどの売れっ子という設定なのだが、人物像が紋切り型で深みがまるでない。彼女の不倫相手が売れっ子カメラマンで……などという設定も、安手のレディースコミックのようだ。

 しかし後半、物語が転調してファンタジックな展開になるあたりから、俄然面白くなる。ネタバレになるのでくわしく書けないが、萩尾望都の短編マンガ「マリーン」を彷彿とさせるストーリーである。

 キム・レウォン演ずるサンウとの恋を通じて、ヒロイン・尚美は大きく変わっていく。
 なるほど、前半の紋切り型なキャラ作りも、この後半のための長い伏線であったのか、と感心した。 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

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