中川ヨウ『ジャズに生きた女たち』

2008年01月16日 09:32

ジャズに生きた女たち (平凡社新書 (406))ジャズに生きた女たち (平凡社新書 (406))
(2008/01)
中川 ヨウ

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 中川ヨウ著『ジャズに生きた女たち』(平凡社新書/760円)読了。
 女流ジャズ評論家の第一人者が、ジャズ史の中に大きな位置を占める8人の女性たちについて綴った音楽エッセイ集。

 味わい深いエッセイであると同時に、風変わりな「ジャズ入門」として読むこともできる。8人のジャズ・ウイメンの人生素描を通じて、ごく自然な形でジャズ史を概観することができるのだ。

 中川ヨウさん(かつては「中川燿」という表記だった)には、かれこれ15年ほど前に一度お会いしたことがある。たいへん美しい素敵な女性で、会った瞬間、「あ、この方は“顔文一致”だ」と思ったものだ。詩的で美しい彼女の文章と、見事なくらいイメージが重なり合ったのである。

 誰にも真似できない、ワン・アンド・オンリーのジャズ評論/エッセイを書かれる方である。
 マイルス・デイヴィスが亡くなったとき、いまはなき『シティロード』に彼女が寄せた追悼文など、あまりにいい文章だったので、切り抜いて自作の「名文スクラップ・ブック」に入れておいた。引っぱり出してきて、一部引用してみよう。

 

 9月28日、マイルスが逝った。
 どうりで。大きな星が落ちる音がしたと思った。

 マイルスは、死ぬまでいい男だった。
 アイスクリームばかり食べていても、それは彼の男らしさを損なわなかったし、贅肉知らずの体は、母親譲りの好みである、派手でヒップな服がよく似合った。
 マイルスの、カツラも、私は好きだった。あのカツラは、帝王マイルスの王冠だったから。
 拒絶と誘惑が黄金の比率でちりばめられた、大きな眼でギロっと見られると、いつも私は足がすくんで動けなくなった。(後略/『シティロード』1991年11月号) 



 この『ジャズに生きた女たち』は、各章の一部が主人公の女性のモノローグ形式で書かれている。エッセイというより小説に近いこの部分が、じつに中川さんらしくてよい。

 本書はウェブサイト「ソニースタイル」との連動企画であり、内容の半分以上はウェブ上で読むことができる。まずはウェブで読んでみて、気に入ったら本も買うとよい。

 このサイト→ http://www.jp.sonystyle.com/Style-b/Yo-yo-yo/index.html

 ちなみに、これは中川さんの2冊目の単著にあたる。1冊目の著書『中川燿のジャズ・ダイアリー』(時事通信社)も名著なので、こちらもオススメ。



コメント

  1. デヘ | URL | -

    ご紹介ありがとうございました。
    勝手ながらリンクさせていただきました。

  2. 前原 | URL | -

    デヘヘラーさん

    中川さんは小説が書ける人ではないかと、私は思っています。この本も、彼女のそうした資質がよくあらわれた好著です。

    前著にあたる『中川燿のジャズ・ダイアリー』にも、晩年のジャコ・パストリアスと中川さんの交流を小説のように描いた一編が入っていて、これがじつによいです。もし未読でしたら、是非ご一読を。

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